「コロナ禍で売り先がない」生産者のために夫婦で開業を決意!“本マグロ”が激安でおいしい“人情まぐろ屋さん”に密着!

大阪市阿倍野区にある、本マグロを提供する立ち飲み屋さんが「安くておいしい」と評判です。コロナ禍に夫婦が開いたお店。地域の人たちに愛される“人情まぐろ屋さん”に密着しました。

©️ABCテレビ

JR大阪環状線・寺田町駅から徒歩5分の「まぐろ問屋」は、3年前にオープンした居酒屋。わずか4坪の店は、昼12時に開店するやたちまち満席に。お客さんのお目当ては、店主の谷野千勢さん(33)が腕を振るう“本マグロ”を使った料理です。

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大きくて身がフワフワの「カマ塩焼き」が680円。希少部位のアゴを甘辛いタレで焼いた「アゴ焼き」や、新鮮な身が山盛りの一番人気メニュー「中落ち」はなんと390円!驚きの安さもさることながら、本マグロならではのおいしさに、お客さんたちは「最高!」と大満足です。

そんな安さとおいしさの秘密は、真夜中の大阪市東部中央卸売市場にありました。巨大なまぐろをさばいているのは、千勢さんの18歳年上の夫・谷野豊さん(51)。まぐろ仲卸業30年の豊さんが、厳選のまぐろを「まぐろ問屋」に卸しているのです。

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もともとは「飲食店をする予定ではなかった」と話す豊さん。そんな谷野さん夫妻が「まぐろ問屋」を始めたきっかけは「コロナ禍」でした。多くの飲食店が休業した影響で「マグロの売り先がない」と困り果てる生産者を何とか手助けしたい思いで千勢さんに相談したところ、「私が(店を)やるわ」と言ってくれたのです。

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元保育士で飲食業の経験はなかった千勢さん。しかし、「(夫と)思ってることは一緒」と豊さんの気持ちに応えて始めた「まぐろ問屋」は、地元のファンのみならず、SNSなどで評判を知った遠方からのお客さんも数多く訪れる人気店となりました。

そんな「まぐろ問屋」の休店日、一緒にお出かけする谷野さん夫妻に同行した取材班。2人が向かった「たかしま食堂」は千勢さんの母・髙島悦子さん(60)が営むお店で、1年前にオープンした「まぐろ問屋」の姉妹店。こちらでも豊さんがさばいた本マグロが食べられます。

【動画】「まぐろ問屋」と「たかしま食堂」は歩いて15分の距離。2つの店を“はしご”で楽しむお客さんも多いそう。

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名物の大きな「まぐろカツ」をはじめ、およそ20種類のおかずは悦子さんの手作りです。料理好きの悦子さんはもともと飲食店を開くのが夢で、夫の明臣さんと「いつか一緒にお店をやろう」と約束していたそう。ところが13年前、明臣さんが病気で他界。夫が叶えられなかった約束を「豊くんが叶えてくれた」としみじみ話す悦子さんから笑みがこぼれます。

そして営業日の夜、再び「まぐろ問屋」を訪ねると、店内はお客さんでいっぱい。厨房ではひとりで料理を作る千勢さんが奮闘しています。出来上がった料理を「あいよ」と受け取り、テーブルに運んでいるのは、カウンターで飲んでいた別のお客さん。なんと、常連のお客さんが料理提供を手伝っていました。

「千勢ちゃんから言われたら、(手伝いは)もう仕方ないんですよ」と楽しそうに笑う常連さん。コスパ最高のまぐろ料理と、千勢さんのお人柄にすっかりハマっているそうです。

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「お客さんに喜ばれる店を作りたい」。それが自分や豊さん、そして悦子さんの願いだと話す千勢さん。そんな家族が心を合わせ、「がっちり(一緒に)できるのが一番いい」とほほ笑む豊さん。今日も明日も、お店を愛してくれるお客さんのため、“人情まぐろ屋さん”は元気に営業中です。

夫婦で奮闘する“人情まぐろ屋さん”は2月20日(木)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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