日本ヒップホップ界レジェンド・KREVA「トップで走ってきた感覚はあまりない」ソロ活動20年の中でのターニングポイントとは?
MC下埜正太がアーティストに「凸撃」訪問してインタビューする音楽トーク番組『音凸ちゅーずDAY』(ABCテレビ)。アーティストがレコードに書かれたトークテーマを「ちゅーず!」して、 下埜の詳しすぎる知識と話術を武器にちょっと攻めたギリギリトークを展開します。今回は、KREVAに凸撃! ソロ活動20周年を迎え、2月19日(水)にはニューアルバム「Project K」をリリース。さらに全国19都市21公演を廻るツアーの開催も決定しています。
そんなKREVAとこれまでの活動を振り返りながら、ニューアルバムについての話はもちろん、現在の活動についてもじっくりトーク。ABC magazineでは、OAには収まりきらなかったここだけの話もお届けします!
インタビュー前編では、ナビゲーターを務めるラジオ番組への向き合い方やニューアルバム『Project K』の制作過程についてお届けします。
■原点に立ち帰るキッカケとなっているラジオ番組
最初の質問は「ラジオ」。毎週金曜日午後11時~11時30分OAのラジオ番組『PILOT THE ORIGINAL』(J-WAVE)でナビゲーターを務めているKREVA。「人間の手から生まれるもの」をテーマに、その人が作り出すモノや生き方にフォーカスを当てて紹介しています。「世の中には、いい意味ですごく狭い所に情熱を注いでいる人がいっぱいいて、そういう人たちが次から次に来る番組なんです」と紹介。台本にいちゃもんをつけたり、流れを無視して進行する展開もありますが、これについては「とんねるず世代なので(笑)」と認め、「とんねるずが、こっちで話してるのにあっち(スタッフ側)に話を振ったりするのが好きなんです。それに台本について気になったところがあったら番組でおもしろおかしく指摘した方がいいなと思っていて。俺もスタジオの外の人が見えるような放送にしたい。」と理由を明かしました。
『PILOT THE ORIGINAL』は、様々な分野で活躍する職人のゲストを招いてトークも繰り広げる、お互いの仕事へのリスペクトが感じられる番組。「10年前ならもっと自分のこともいっぱい話してしまっていたかもしれないけど、今は学びの精神が強くなっているから、素直に(人からの話を)聞けているんだと思います」と語ります。「ニッチなものに情熱を注いでいる皆さんと同じようなことって何かなと考えると、自分にはラップしかないなと立ち帰ることもできた。それは大物ミュージシャンと共演した時(の感覚)にすごく近いと思います」。ゲストから刺激を受けたり原点を見つめるキッカケにもなっているそうです。
■ソロデビューから20年。新たなターニングポイントに渾身のアルバムが完成
これまでで一番の「ターニングポイント」は、間違いなくソロデビューだったと語るKREVA。長年、日本のヒップホップ界を常に最前線で牽引してきたKREVAですが、「トップで走ってきた感覚はあんまりなくて、揉まれてる感じがあります」と語ります。「チャートで1位を獲ったり、ラップ界で初めてのことをやった時には先鋒になってるなという気持ちになったりもします。だけどそこに立ってみると、違う分野でもっとすごいことをやってる人に会ったりするから、まだまだやらなきゃなって思う。だから、もがいて走ってるような感覚の方が強いですかね」と、振り返りました。
ソロデビュー20周年を迎え、この先の意気込みを聞かれると「1個1個やっていくしかないね」とキッパリ。「毎朝、30分ぐらい(やることを)文章にして書いているんです。その中で一番出てくることを、一つ一つ確実にやっていくしかない。今までは事務所に所属してやってもらっていたことも、独立して会社を始めたからには自分でやらなきゃいけない。最終決定は俺になってくるから」と力説します。
今回、新たなターニングポイントに約3年半ぶりとなるニューアルバム『Project K』も完成。タイトルについては、「前進させる」という意味を語源に持つ単語「project」を使うことで、まさにここから活動を前進させていく思いを投影しました。
制作過程は一筋縄ではいかなかったそう。「事務所を辞めて会社を立ち上げたのでレコード会社と契約をもう一回結び直したり。母が入院して闘病生活をしていたのでそれと重なったりして、すごく凸凹の道でした」と話します。
だからこそ完成した喜びもひとしお。「ビビったのが、そんだけ頑張ったらどんなものができたんだろうって、楽しみにしながら聴いたら、全部で30分しかなかったんですよ。あんなに頑張ったのに30分て! というのがすごく今まで感じたことのない新鮮な驚きで、すごく嬉しかった。ただ長ければいいというものでもないから、その分頑張りがギュッと1枚に閉じ込められているのがよかった」と、納得のアルバムになったと笑顔で話してくれました。
これまでの活動を振り返りながら、ナビゲーターを務めるラジオ番組への向き合い方やファン待望のアルバムについてたっぷりと語ってくれたKREVA。インタビュー後編では、今年1月に念願の開催となった展覧会やリリックへのこだわりを明かしてくれました。
KREVA
オフィシャルサイト https://kreva.club/
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