堀部圭亮　「もうすぐ還暦」　“いい仕事”をするために大事にしていること

2025.02.08

話題沸騰のラブサスペンス『フォレスト』（ABCテレビ・テレビ朝日系列　毎週日曜よる10時15分）で、楓（比嘉愛未）の毒親的な母親・鈴子（松田美由紀）の、従順すぎる秘書・葉山を演じている堀部圭亮さんへのインタビュー後編です。イケオジ堀部さんの意外な一面や、仕事に対する真摯な姿勢が伝わるインタビューになりました。

ーー秘書の葉山さんはおそらくストレスをたくさん溜めていると思うのですが、ゴルフやスキーなどアクティブな趣味をお持ちの堀部さんから、葉山さんにおすすめのストレス解消方を教えてあげるとしたら？

たしかにストレスはすごいでしょうねえ（笑）。葉山のキャラクターを作るときに、そこまで細かくは考えなかったのですが、ギャンブルはしない人だろうなと思ったんです。多分そういう不確実なことには手を出さないだろうなと。ストレス解消の方法というと……ゴルフやスキーもいいですが、スイーツはおすすめしたいです。僕自身、２年前にお酒を止めてから一番日常的に頼っているものがスイーツなんです。特にあんこが大好きで。自分と重ねて、葉山があんこもの、あずきものを好きだというのはありだなと思いました。

ーー葉山さんはお友達もいなさそうですし、休日もなさそうなので、ちょっとした隙間時間に甘いものを食べてストレス解消をするというのはしっくりきますし、かわいいです。ちなみに堀部さんが特に好きなあんこのお菓子というと？

あんこであればなんでもいいです。極端なことを言うと、中身だけでいいんです。最中のガワも邪魔だったりするし、大福も餅がなくてもいいです（笑）。ときどき行く和菓子屋さんにパック入りのあんこが売っていて。いつもそれだけ買って帰りたい欲望に駆られていますが、いい年こいて駄目だなと思って我慢しています。

ーー全然問題ないと思います！　ちなみにお酒を止めた理由は？

単純に飽きたというか、次の日にちょっとお酒が残っている感じがしんどくなって。あるとき、家でいつものように晩酌していたら、ふと「もういいかな」と思ったんです。突然。で、妻に「お酒はもうやめる」と宣言してから、一滴も飲んでいません。会食で同席している人がアルコールを飲んでいても、自分だけソフトドリンクです。「場が白けるかな？」と心配でしたが、まったくそんなことはなかったです。遅い時間に車の運転もできますし、睡眠の質も良くなりましたし、いい事だらけです。

ーーSNSで「もうすぐ還暦」とつぶやいていらっしゃいました。年齢とキャリアを重ねた今、「いい仕事」をするために重視していることを教えてください。

準備ですね。現場で何があっても「うわ、どうしよう！」ではなくて、「あ、はい、それですね」と落ち着いて対応できるぐらいの余裕を持ちたい。そのためには準備するしかないと思います。20代の頃、萩本欽一さんの番組からテレビの仕事を始めて、欽ちゃんに「お前に足りないのは努力だ」と言われたことがあるんです。そこから「努力ってなんだろう」と考えて、あるとき「あ、準備だ。準備に繋がることは全部努力だ」と気がつきました。そこからは、無駄になるかもしれないことも含めて、できる限りの準備をしています。台詞を覚えるのはもちろん、相手がこうだったらこうしようと、アウトプットのパターンをいろいろと考える時間が楽しいです。あとは遅刻しないことも大事です。

ーー基本的なことが大事なんですね。ちなみに「努力＝準備」と気付くきっかけになったこととは？

40歳になる頃に出演した、三谷幸喜さんの舞台「12人の優しい日本人」（2005年）の稽古場に、間違えて２時間早く着いてしまったんです。「しまった！　まだ開いてないだろうなあ」と思ったら、管理の人が「もういらっしゃってる方がいるので開いてますよ」と。「あ、よかった」と思ったら、生瀬勝久さんが１人で稽古をされていた。「あ、ちょっと見ちゃいけないものを見たな」と思い、「飯を食ってきます」と一旦外に出たんですけど、「あれが努力か！」と気付いたんです。

ーー生瀬さんのライブ感のあるお芝居も準備をしているからこそ、なんですね。

ですよね。稽古場ではいつも無駄話をしていて、先輩やストレッチしている人にちょっかい出して、「集中したいんだからあっち行ってくれ！」みたいなことを言われながら、みんなのコミュニケーションを測ってくれていて。表ではそういうことをしていた生瀬さんが、実は陰ながら努力をされていた。鶴が機を織っているところを見たような衝撃がありました。

ーーいいお話をありがとうございました。では最後に、「フォレスト」の４話以降の見どころをお願いできますか？

多分、毎話毎話すごく話が動いていくんですけど、折り返し地点の４話で大きな事件が起きます。そして、30数年前から起きていたことがどう着地するのかというと、「あの人がそうだったのか！」というところに集約していきます。ミステリーとして気持ちいいと思いますので、ぜひ最後まで御覧ください。