廃村になり、ただひとりになった小原村出身の職人 一子相伝の幻の工芸品“小原かご”継承を託された女性とは?
“小原かご”は800年の歴史があると伝わる滋賀県の伝統工芸品。かご作りは小原村の重要な産業のひとつでしたが、平成7年に廃村。いまや小原村出身の木かご職人は88歳の太々野㓛さんただひとりになりました。そんな幻の小原かごを受け継いだのが荒井恵梨子さん。太々野さんの作るかごの美しさに強く魅かれ、木かご職人になったのです。
荒井さんは、自ら、鉈とチェーンソーを手に森に入り、広葉樹などを伐採。山の麓にある古民家の「荒井木籠製作所」に持ち帰ります。小原かごは生木を使うのが特徴で、年輪に沿って剥いだ木を薄く削り、編んでいきます。穀物を入れる“まめかご”、買い物などに使う“手提げかご”、小物入れの“ちんかご”など、荒井さんが作るのは小原かごの伝統技術を使った愛らしいものばかり。使うたびに手の脂が染み込み、艶が出てくるため、使うことがメンテナンス。「100年もつ軽くて丈夫なかご」と荒井さんは魅力を語ります。
荒井さんは栃木県出身。大学院では山間部村の生活用品の技術や文化の継承について調査研究をしていました。そして、結婚を機に移った滋賀県長浜で、生活道具の“小原かご”を作る太々野さんと出会ったのです。村では長男の一子相伝だった小原かごでしたが、移住者の荒井さんを弟子にした太々野さん。その理由には800年の伝統を未来に繋ぐ強い思いがありました。
荒井さんがかご職人として生きる決意をするきっかけになったのは、昨年、自身が出版した著書でした。「小原かご 自然と神々と暮らした人びとの民具」は「2023文化で滋賀を元気に!賞」の大賞を受賞。幻の小原かごの存在を多くの人に知らしめ、再評価される機会となったのです。
こうして小原かごのファンを増やしている荒井さん。若い世代にアピールするため、様々なことにチャレンジする日々を追いかけます!
『LIFE~夢のカタチ~』は、11月23日 土曜 午前11時から放送。(ABCテレビ/関西地域で放送)