疑惑の“太陽光ビジネス”逮捕前の元社長を大阪で直撃! 1万2000人以上が「未来の子どもたちのために」と信じて投資!
10月30日、太陽光発電事業を展開していた会社の元社長ら6人が逮捕されました。問題となっているのは「販売預託商法」と呼ばれる資金集めの方法です。巨額の被害を生み出した「太陽光ビジネス」の実態に取材班が肉薄。会社破産後も返金に応じず、行方がわからなくなっていた元社長を追跡しました。
近畿地方に住むAさんは“環境にいい”“未来の子どもたちのために”などと社会貢献を強調するネット広告に惹かれ、太陽光発電事業への投資を決めました。広告主は「チェンジ・ザ・ワールド」。山形県酒田市にあった太陽光発電を販売・運営する会社でした。
「スマホで買える再エネ発電所」と宣伝し、太陽光パネルをネットで販売していたこの会社。20年間保有すれば、およそ27%の利益を得られるなどとうたい、投資を募っていました。Aさんは2021年3月から2年ほどの間に約1400万円分のパネルを購入しましたが、設置されているはずの場所を訪ねてみると、そこは雑草だらけの空き地。パネルなど影も形もなかったのです。
驚いたAさんは全額返金を要求。ところが2023年2月、「チェンジ・ザ・ワールド」から突然、会社が「破産」したとの知らせが。その後、返金されないまま音信不通となり、子どもの養育費などのあてるはずだった大切な資金が失われました。
Aさんの例のような架空の話ばかりだったわけではありません。「チェンジ・ザ・ワールド」は全国100カ所以上で太陽光パネルを実際に管理し、事業を展開していたのです。まずは顧客が会社を通してパネルを購入。これを預かり、発電された電気を電力会社に販売。その売り上げの一部を顧客に分配していました。
このように、事業者側が販売した商品を預かり、運用する商法は「販売預託商法」。消費者トラブルが相次いだことから、2022年6月の法改正により原則禁止されています。
ところが、禁止されてからも販売が続いていたことを証言するのは、関東地方在住のBさんです。2020年から総額2000万円ほどを投資。当初は配当金なども支払われ、事業は順調に見えていました。しかし、2022年後半からはパネルが大幅に割引されるなど、経営の傾きも見てとれるような「投げ売り状態」に。販売がより強化されたこのころが、まさに法改正の直後だったのです。
【動画】環境への取り組みで環境省などから表彰を受けていた「チェンジ・ザ・ワールド」。これが投資者を増加させた一面も。
信用調査会社によると、債権者は全国で約1万2000人。負債額は38億円にものぼる「チェンジ・ザ・ワールド」。その元代表取締役社長・池田友喜氏に話を聞くべく、取材班は酒田市内にある自宅へ。ところが、数日間待っても池田氏は姿を現しません。
そんななか、池田氏が大阪・ミナミを訪れているとの情報が!ついにカメラはその姿を捉えました。「池田友喜さんですか?」と声をかけると「はい」と答えた池田氏。しかし、預託商法の違法性について「認識は(あったのか)?」という問いには、「今ちょっとしゃべれない」「管財人に聞いて」と自ら話すことはありませんでした。
この取材から間もない10月30日、大阪府警が池田容疑者ら6人を預託法違反の疑いで逮捕。預託法改正後のおととし6月から12月にかけ、太陽光パネルを購入して運用を委託すれば利益を得られるとうたい、近畿地方に住む男女4人とおよそ218万円の契約を結んだ疑いが持たれています。
改正された預託法での立件は、これが全国初。警察は6人の認否を明らかにしていませんが、「チェンジ・ザ・ワールド」が消費者庁から複数回、違法性を指摘され、販売停止を求められていたことから、池田容疑者らが違法性を認識していたとみて、慎重に調べています。
疑惑の太陽光ビジネスの実態は10月31日(木)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。