深夜の国際便に乗る乗客たち…開港30周年「関西国際空港」の夜に密着! “ 手荷物紛失ゼロ”を支えるバッグヤード
街で気になるあの場所、この場所にカメラを置き、夜にやって来る人々の人間模様を探るシリーズ『真夜中の定点観測』。今回の舞台は、関西の空の玄関口「関西国際空港」。夜の空港で働く人たちや、国際線の出発を待つ人たちの人間模様に迫ります。
今年9月に開港30周年を迎えた関西国際空港。これまでの利用者は約5億4000万人。現在は20の国と地域の54都市と結ばれています。一体、どんな人が利用し、どんな人が働いているのでしょうか。
午後7時30分、JALのチェックインカウンターで出会った楽しげなグループは、20年来の「心の友」というママ友4人組。ハワイに移住した友だちに会いに行くため、午後10時5分発のハワイ・ホノルル行きに搭乗します。
カウンターに預けられた手荷物は、どのようにして飛行機まで運ばれるのでしょう?舞台裏にカメラが潜入しました。
関係者しか入れない空港1階のバックヤード。レーンを流れてきた約230個のホノルル便の手荷物をスタッフが1つずつ手作業でコンテナに運びます。なかには30キロ超のスーツケースなど、屈強な男性スタッフも思わず「あっ〜!!」と声がもれるほどの重量級も。
女性スタッフの姿も見つけました。この部署に移って1か月半という井村香さん(28)です。大きな荷物を力強く運んでいますが、高い位置に荷物を積み上げるときなど、どうしても無理な場合は「助けて」と周囲のスタッフにお手伝いをお願いするんだそうです。
午後8時15分。ホノルル行きのカウンターに大きな楽器ケースを担いだ女性がやって来ました。彼女はハワイ在住のアリスさん(47)。ケースの中身は息子のコーディくん(11)のチェロです。コーディくんはチェロの演奏者。大阪で行われたチェロの国際コンクールに参加した帰りで、105人中5位だったそう。将来の夢は「音楽家」という彼は、その見事な演奏をカメラの前で披露してくれました。
一方、バックヤードではコンテナに積んだ手荷物をスタッフが数えていました。数え終わった後、同じ場所をまた別のスタッフが数えます。2人で数えるのは、数え間違えを防ぐための「ルール」。開港以来30年、空港側の原因による荷物の紛失が一度も起きていない関西国際空港。世界に誇る「ロストバゲージ“ゼロ”」はこんな努力にも支えられているのです。
【動画】関西国際空港の去年の利用客数はおよそ2589万人。取り扱った手荷物は約1000万個にのぼります。
そして、手荷物はすべて収納。午後10時5分、ホノルル便が離陸しました。
この日の最終便は、深夜1時前発のタイ・バンコク行き。午後10時30分、カウンターにやって来た女性は長野市でバーラウンジを営む勝山つばささん。公私ともに仲よしで、子育てにがんばるママでもある店のスタッフたちとタイへ社員旅行にでかけるそうです。
そのころ、バックヤードでは外国人の男性が荷物を運んでいました。彼はベトナム出身のファンさん(25)。ベトナムに母を残し、今年4月、JALの委託会社「Kグランドエキスパート」に入社しました。
父は5年にもおよぶ闘病生活の末に今年他界。母は最期まで献身的に介護していました。初月給は母に仕送りしたというファンさん。「ずっと育ててくれて、めちゃくちゃ偉い人」という大好きな母を楽にさせるため、日本で懸命に働くといいます。
夜の関西国際空港に密着した『真夜中の定点観測』は10月16日(水)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜 午後3:40〜)で紹介しました。