29年前の交通事故で「人生がめちゃくちゃに…」重度の障害を負った息子を支える被害者家族の悲痛な思いとは?

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交通事故で重度の障害を負った被害者。事故の後には、家族に負担がのしかかる重い現実があります。29年前、突然の事故で寝たきりとなった男性と、支え続ける家族を取材しました。

大阪府交野市に住む桑山敦至さん(36)は重い障害があり、常に寝たきりの状態。父の雄次さん(68)、母の晶子さん(63)のケアを受けて暮らしています。友だちと公園を走り回る元気な少年だった敦至さんの人生が一変したのは小学2年のころ。6月のある日曜日でした。

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友だちと遊んだ帰り道、道路を渡ろうとしたところ、スピード超過の車にはねられて意識不明に。1か月ほどで意識は戻りましたが、脳に重い傷を負い、両手足に麻痺が残りました。

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以来29年間、在宅で介護を続けてきた桑山さん夫妻。敦至さんをお風呂に入れるのが日課ですが、専用のリフトを使っても60代の両親には重い負担です。

また、自力で痰を吐き出すことができない敦至さんは、夜中もこまめな吸引が必要。息子の異変に対応できるよう、ベッドのそばで寝ている2人が、朝までゆっくりと眠れることはほとんどありません。

【動画】突然の事故から29年。桑山さん夫妻の頭の中では、元気だったころの息子の姿が今も鮮明です。

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車にはねられた29年前のあの日から、敦至さんの、そして家族の人生が「めちゃくちゃになってしまった」ともらす晶子さん。「なんて理不尽な生活をするんやろうと…」と胸の奥の憤りをにじませます。

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そんな家族を支えているのが、訪問ヘルパー。こわばる体をほぐすストレッチや痰の吸引、胃の中への栄養の注入など、敦至さんの生活全般を介助してくれる頼もしい存在です。

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しかし、ヘルパーの利用時間は満足のいくものではありません。敦至さんのために介護給付が認められている時間は1か月に500時間ですが、実際に利用できているのは150時間ほど。その理由は、深刻なヘルパー不足です。

敦至さんの介護を請け負う大阪府寝屋川市の事業所では、家庭の事情や体調不良などで、この1年で担当していたヘルパー3人が退職。新たなヘルパーを雇い入れようにも、医療的ケアの研修などに費用がかかり、人材の確保は難しいといいます。

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利用が認められているのに使うことができず、家族に負担がのしかかるーー。事故後、同じような障害を負った被害者の家族の会を結成し、支援の充実を国に求めてきた雄次さん。ヘルパー不足の問題についても強く訴えていくといいます。

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かつては「普通の子が経験するようなことはさせてあげたい」と敦至さんをできるだけ外に連れ出してきた桑山さん夫妻ですが、年を重ねるにつれ、出かける機会も減ってきました。

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雄次さんは昨年、頸椎ヘルニアの手術をしたばかり。体重40キロの敦至さんを抱き抱えるのも辛くなってきました。一歩ずつ、確実に近づく「親亡き後」の不安な未来…。桑山さん夫妻が訴えたい切実な思いとは? 交通事故の被害者家族が抱える問題は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中

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