「高給取り」から「潮目が変わった」トラックドライバーの“今”に密着! 「物流の2024年問題」
4月から始まったトラックドライバーの“働き方改革”。それは物流の現場に、そして私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。運送会社で働くトラックドライバーたちの“今”に密着しました。
東京・江東区にある「浪速運送」東京センター。午後8時、倉庫に1台の10トントラックが入ってきました。ドライバーは、大型トラックひと筋27年の西村博さん(52)。トラック1台分の荷物を、東大阪市の倉庫に翌朝までに届けるのが仕事です。
まずは荷物の積み込み作業。衣服や小物などが詰まった大きさがバラバラの段ボール箱を、まるで「テトリス」のように組み合わせながら、高さ約2.5メートルの天井ギリギリまで隙間なく積み込みます。作業を終えた午後11時、トラックは東大阪市に向けて出発。目標到着時間は、約8時間後の翌日午前7時です。
深刻な人手不足が続くトラック業界。そんななか、さらにドライバーたちを悩ませているのが「物流の2024年問題」です。過酷な勤務を改善すべく、これまではほぼ無制限だった時間外勤務に年間960時間の上限をもうける新ルールが今年4月からスタート。ドライバーの勤務に余裕が生まれる反面、総配送量の減少や配送の遅れなど、私たちの生活への影響が懸念されています。
西村さんが働く「浪速運送」では、働き方改革の一環として「2024年問題」への対策が数年前から進められてきたそう。荷主に出荷時間を早めてもらうなどの工夫や努力が、労働時間の削減につながっているといいます。
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走り始めておよそ3時間半後には休憩。サービスエリアにトラックを停め、コーヒーを飲んで一息入れます。国が設けた、連続で運転できる時間は1回あたり4時間まで。4時間ごとに30分以上の休憩が義務づけられているのです。
休憩を終え、再び走り出す西村さん。途中、予想外の事故渋滞に巻き込まれましたが、予定より15分遅れの午前7時15分には東大阪市内の倉庫に到着。大人数で一気に荷下ろしを済ませ、午前8時すぎには無事に業務を終えました。
届いた荷物を引き継ぐのは、ドライバー歴33年の生櫻賢史さん(53)。大阪・箕面にある衣料品店やアパレルブランドの倉庫に、およそ600着の衣服を届けるのが本日のお仕事です。
生櫻さんがトラックドライバーとして働き始めたのは20歳のころ。かつては“歩合制”という仕組みがあり、たくさんの荷物を運べばそれだけ多くの給料を得られる「高給取り」でしたが、今は「潮目が変わった」と生櫻さん。若いドライバーの減少もトラック業界が抱える重大な問題です。
トラックドライバーたちのがんばりに支えられ、当たり前のように店頭に並ぶ商品――そんな日常の光景にすでに表れている“変化”を語るのは、物流ジャーナリストの坂田良平さん。物流業界を見つめ続けてきた坂田さんが指摘する、「2024年問題」が社会にもたらす多大なる影響とは?
トラックドライバーの現状は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!