1200万円を騙し取られて「死」を考えたことも…有名人をかたるSNSの「なりすまし広告」!スマホアプリも駆使した悪質“投資詐欺”の実態とは?
SNSにまん延する著名人の「なりすまし広告」を入口に、お金を騙し取られる投資詐欺が全国で相次いでいます。今年4月25日には、4人の被害者がフェイスブックなどを運営するメタ社の日本法人を相手取り、損害賠償を求める訴えを神戸地裁で起こしました。有名人をかたって偽の投資話へと誘い込む「なりすまし広告」。その被害の実態に迫ります。
関東地方に住むAさんは、妻と子どもの4人で暮らす30代の男性。将来の生活に不安を抱え、投資に興味を持ち始めた去年9月、Facebookにある広告が流れてきました。
それは、有名な実業家・前澤友作さんが投資を呼びかけているかのような資産運用セミナーの広告。半信半疑ながらもアクセスしたAさんは、実業家を名乗る人物から招待されたLINEグループに参加し、投資を始めることに。
まずは15万円を振り込んでみると、すぐに年利8%=1万2000円以上の儲けが出たとの連絡が。これで「欲が出てしまった」というAさんは投資額を一気に増やし、3か月の間におよそ1100万円を振り込みました。
しかし、お金を引き出そうとすると300万円もの「運営費」などを支払わされ、不審に思って警察に相談したところ「詐欺」と判明。失った1400万円は今も戻りませんが、「家族を路頭に迷わすわけにもいかない」と必死にお金を工面し、何とか生活しているといいます。
警察庁によると、こうしたSNS型投資詐欺による被害は去年1年間で2271件にのぼり、被害額は約278億円。ITジャーナリストの三上洋さんは、昨今の“株高”や“投資熱”など「国内で注目されている話題が手口に利用される」と指摘します。
西日本で家族3人と暮らす30代の主婦・Bさんは、同じく前澤さんをかたる「なりすまし広告」をきっかけにお金を騙し取られました。被害額は1200万円。子どもの教育費などのために蓄えていた貯金です。詐欺と知ったとき、ショックのあまり生きることに絶望を感じたBさんの頭には「死もよぎった」といいます。
【動画】少しでもお金を増やしたいという「欲望を利用された」とBさん。
そんなBさんは投資を始めるとき、株やFXの取引が表示されるスマホアプリのインストールを詐欺グループに指示されました。300万円を入金すると、さっそく6倍もの利益が出たと表示されましたが、この数字はまったくの偽物。詐欺グループ側でアプリを操作し、儲かっているように見せかけていたのです。
Bさんは「なりすまし広告」を掲載していたメタ社に対し、「何の規制もなく載せて、見過ごしている」「本当に許せない」と憤りを露わに。広告に無断で写真や名前を使われていた前澤さんら有名人も怒りの声を上げるなか、プラットフォーマー、そして国に求められる対策とは?
「なりすまし広告」の被害の実態は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!