奈良・吉野に世界からも注目される100年使える椅子を専門に作る木工職人がいた

©ABCテレビ

木の産地として知られる奈良県吉野。東吉野村に工房を構え、吉野ヒノキを中心に日本の良質な木を使って、家具作りに取り組んでいる『維鶴木工』の藤川拓馬さんがいます。藤川さんが特にこだわっているのが、椅子。「強く、優しく、美しく」をモットーに、丈夫で使い心地がよく、掛け心地もよく、なおかつ美しい、が絶対条件。木目が詰まり、節がないことから強度が高く、椅子作りに適している吉野ヒノキや、触れたときに冷たさを感じない吉野杉を使う藤川さんの椅子は、様々な場所で使われています。使う人にとってかけがえのない一生モノの椅子は、2022年に「ウッドデザイン賞」を受賞。今年の1月には無印良品のパリ店に出店するなど、世界からも注目されています。

©ABCテレビ

藤川さんは大阪府出身。大工の父親の影響を受けて、自身も家具職人の道へ。2016年に桜井市で『維鶴木工』を開業。ソファの骨組みやオフィス家具などを手掛けるうちに、様々な技術を必要とする椅子が「作るのも見るのも使うのも一番面白い」と思うようになりました。椅子は日本で普及してからの歴史が浅く、藤川さんが日本らしい椅子を模索しようと考えていた時、吉野ヒノキに出会いました。「節や反りが無く、めっちゃキレイ」と一目惚れ。硬くて強度が出せるのも椅子に適していました。

©ABCテレビ

2017年に東吉野村に工房を移転。人工林として500年以上、大切に育てられた木で、孫の代まで長く使える椅子を作りたい、との思いからでした。ところが2020年の春、コロナ渦の影響で受注が減少。「自分に何か出来ることはないか」と考えた藤川さんは、自分でスツール(背もたれのない椅子)を作れるキット「Do kit yourself」を生み出しました。自分で椅子を作るこのキットが人気を博し、問い合わせやワークショップの依頼が舞い込むようになり、2021年度の「グッドデザイン賞」も受賞しました。

©ABCテレビ

ワークショップの開催やコラボレーションのオファーなど、多様な展開を見せる「Do kit yourself」。北海道の旭川にある木材会社とのコラボでは、吉野ヒノキに替え、旭川のウォールナットの木を使ってキットを製作。さらに、和歌山県白浜町の井戸畳店とのコラボでは紀州いぐさを使った「Do kit yourself」づくりに挑みます。

©ABCテレビ

様々なことに挑戦する藤川さんの日々を追いかけた『LIFE~夢のカタチ~』は6月10日(土)午前11時から。(ABCテレビ<関西地域で放送>TVer見逃し配信あり)

©ABCテレビ

「維鶴木工」

奈良県吉野郡東吉野村

木の産地「吉野」にある木工所。良質なスギとヒノキを使った椅子や、特注、試作、修理など、様々な木工製品を製作しています。

番組情報

LIFE~夢のカタチ~
毎週(土)午前11時

関連記事

おすすめ記事 おすすめ記事