尼崎にいる元キャビンアテンダント(CA)の宮司さん 一度は逃げ出した神社へもどった理由とは? 世界を飛び回る仕事から日本の伝統を守るお仕事へ
阪神尼崎駅から歩いて3分、高さ17メートルの大鳥居が目印で「尼のえべっさん」として地元の人に親しまれている「尼崎えびす神社」があります。この神社で宮司を務める太田垣 亘世(おおたがき・のぶよ)さん、53歳。実は、神社で働き始める20年以上前までキャビンアテンダントとして世界中を飛び回っていました。キャビンアテンダントから宮司… 亘世さんのユニークな経歴のエピソードとは?
1970年、祖父も父親も宮司を務める“神社の家”に生まれた亘世さん。時は、大阪万博が開催され、日本が「国際化」の波に突入した時代。亘世さんは成長するにつれ、「欧米文化」に強いあこがれを持ちました。そして中学生のころ、ドラマ「スチュワーデス物語」が社会現象を巻き起こす大ヒットになり、亘世さんのその後の人生を決定づけます。
「飛行機に乗ってお仕事ができて外国に行けるんだ!」とときめきが倍増した亘世さん、英語を一生懸命勉強し、中学高校時代、英語の成績はトップクラス。短期留学も経験し、大学では国際社会を学び、卒業後、念願叶って外資系の航空会社で働くことになりました。ところが…
航空会社の入社面接で質問された内容は、亘世さんが避け続けてきた日本のことばかり。グローバルな人間になりたいと思い、外の世界へ目を向けていた亘世さんでしたが、自分が間違った勉強の仕方をしてきたのだと気づかされました。
憧れの地で“気づき”を与えられた亘世さん。およそ7年間キャビンアテンダントとして働いた後、大学院で日本の文化を学び、神職の資格も取得。その後はニューヨークで2年間、国連NGOの代表を務めるなど、「ローカル」と「グローバル」を結びつける活動をしてきました。
尼崎で暮らす外国人向けに開かれる「日本語教室」で、日本の伝統行事を“やさしい日本語”で解説したり、地元高校生の授業の一環として「外国からやってきた人に、尼崎の街を、英語で案内」する様子を紹介したりと宮司として、元CAとして忙しい毎日です。
世界を飛び回るキャビンアテンダントから、日本の伝統を守る宮司へ。周りからは「180度別の仕事になりましたね」とか、「全く違う世界に来ましたね」と言われますが、亘世さんにとっては、「お客様に幸せになっていただく」という点は同じ。先日の十日戎では、商売繁盛を願って、尼崎の“商売人”たちから奉納された大マグロが届きました。今年のマグロ。重さはおよそ150キロ! 亘世さんは、今年1年の平和と、商売繁盛を祈ります。
元CAの宮司さんは『news おかえり』の「推しごと拝見」コーナーで紹介しました(→動画はこちらから)
『news おかえり』毎週月曜~金曜午後3時40分ABCテレビで放送中。