大阪・四天王寺 客の7割が注文する名物「カレーうどん」 お店は出汁が無くなり次第、営業終了!

街のおいしい店に潜入し、店主の人柄からにじみ出る人気の秘密を発見するシリーズ「実録!人情食堂」。今回は、「カレーうどん」が名物の人気店を取材しました。

大阪・四天王寺、日本最古の寺「四天王寺」にほど近い「うどんの前田」は、創業27年のうどん店。店頭には“出汁が無くなり次第、営業終了します”との札があり、すでに並んでいるお客さんも。

その人気ぶりがうかがえます。 うどんの味をシンプルに楽しめるのは「きざみうどん」。しっかりと角が立ち、コシのある麺と、関西ならではのあっさりとしただしが自慢です。そして、何といっても一番人気は、お客さんの7割が頼むという「カレーうどん」。だしの旨みと特製カレーの辛味が麺にしっかりと絡む絶品メニューです。

そんなおいしいうどんはどのように生まれるのか? 秘密を探るべく、うどん作りの裏側に潜入してみました。

朝6時、仕込みに取りかかった2代目オーナーの松下厚一さん(45)がまず始めるのは“うどんの命”ともいえるだし作り。大きな寸胴鍋で、昆布やしいたけの足、アゴ、かつお節などの旨みと香りを引き出していきます。仕込む量は25〜50リットルと日によって変わりますが、だしを取るだけで1時間ほどもかかります。

続いては麺作り。練り上げたうどんの生地をローラーにかけて鍛え、冷蔵庫で丸1日寝かせます。工程にプロのこだわりが感じられますが、この店を引き継ぐ前は、うどんのことなど何もわからない「素人」だったと振り返ります。

松下さんが「うどんの前田」のオーナーとなったのは3年10か月前。もとはカフェバーを経営していましたが、コロナ禍で商売に行き詰まるなか、先代オーナーのカレーうどんに衝撃を受け、店を継ぐことを決意したといいます。

そんな松下さんにイチからうどん作りを教えてくれたのが、先代のころから働く従業員の横江貢さん(72)。この道50年を超える大ベテランで、現在も早朝から店が開く午前11時まで働き、仕込みを手伝ってくれています。

【動画】横江さんは松下さんの「師匠」のような存在。成長した松下さんのうどん職人としての力を「(独り立ちしても)もう大丈夫」と認めています。

午前9時過ぎ、横江さんが買い出しに行ってくれている間にカレーうどんの仕込みを。先代から受け継いだ秘伝のルーをだしに入れ、じっくりと煮込みます。次はうどんの生地作り。踏んでコシを出しますが、「重い人間の方がしっかりとしたうどんができる」そうで、「だから僕は痩せられないんです」と松下さんは笑います。

午前11時、いよいよ「うどんの前田」がオープン。開店と同時に続々と訪れるお客さんの注文は、濃厚なカレーだしをたっぷりとかけた「カレーうどん」。えび天やとんかつ、とり天などをトッピングして楽しむ人もいます。

この日もカレーうどんは大人気。閉店までまだ2時間もあるのに、用意していた80人前のカレーうどんのだしはなくなってしまいました。

お店を引き継いでまもなく4年。「作ってる人間が変わったら味も変わった」とお客さんに思われることが一番怖かったという松下さん。しかし、ベテランの横江さんがいてくれたことで“変わらない味”を守ることができ、3年を過ぎたころにようやく「ちょっとだけ安心した」とこれまでを振り返ります。

先代から引き継いだ変わらぬ味でお客さんを笑顔にする松下さん。「うどんの前田」は名物のカレーうどんがおいしい、とても素敵な人情食堂でした。

「実録!人情食堂」は、10月22日(月)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。

『newsおかえり』YouTubeチャンネルで配信中

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