『ポツンと一軒家』で暮らす70歳男性 母は享年42、父は享年49。18歳で両親を亡くし、酒蔵へ40年以上出稼ぎに。入院中の弟の帰りを待ちながら…

衛星写真でみつけた謎の一軒家の実態を徹底調査する番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)。10月26日(日)の放送回では、鳥取県のポツンと一軒家を訪れた。

衛星写真でみつけたポツンと一軒家の手がかりを求めて最寄りの集落へ向かうと、地元の恒例行事の草刈りを終えた10人ほどの男衆が、共同作業場で慰労会をしているところに遭遇。聞き込みをするも、目星をつけた場所は元養豚場で現在は廃墟と化していることがわかった。空振りに終わった捜索隊は、ほろ酔いの男衆から新たなポツンと一軒家の情報を得て、組合長の案内で集落から南へ7キロほど離れた山奥へ車を走らせた。

そこで出会ったのは、70歳の男性。築150年のこの家の9代目だという男性は、入院中の弟さんと暮らしているが、今は弟さんの帰りを待ちながら一人でこの家を守っている。かつては6軒が住む集落だったが、雪深い地域のため冬の仕事がなく、人々は次第に山を降りていったという。中学校までは10キロほどの道のり。当時は舗装道路がなく、谷づたいに通学。道路が舗装されたのは、1964年の東京オリンピックをテレビで見るために、自衛隊が道を作り電柱を建ててくれたのが始まりだったというほど隔絶された場所だった。なぜ一人になってもここに住み続けるのかという問いに男性は、「あまり賑やかところが嫌っていうか……」と静かに語る。幼少期から慣れ親しんだ環境が、一番落ち着く場所なのだ。

元々は地元の大地主で、林業を営んでいたという男性の家系。

14歳で母を亡くし、全寮制の農業高校を卒業した18歳の時に父を亡くした。若くして祖父母と姉弟ら家族を支える立場になった男性は、高校卒業後にまとまったお金を稼ぐために土木関係の仕事に就職。現場で汗を流す傍ら、実家の稲作や牛の世話も続け、多忙な日々を送った。

男性の人生で大きな部分を占めるのが、冬場の酒造りの仕事だ。積雪が2メートルにもなる雪国では冬に仕事が減るため、25歳から68歳までの43年間、毎年冬になると杜氏(とうじ)のもとで働く「蔵人」として出稼ぎへ。腕を磨き続け、酒造りの要である麹造りを任される「代司」にまで昇進し、熟練の職人として活躍した。

男性の穏やかな人柄は、自然を愛する趣味にも表れている。15年以上続けているメダカの飼育では、卵から育てて増やしていく「過程」そのものを楽しむ。山で採ってきた野生の蘭や、食べた後のレモンや銀杏の種を栽培し、盆栽のように育てる。種から芽が出る瞬間が、何よりの喜びなのだそう。さらには、梱包用の紐を再利用し、設計図もなしに見事な手提げカゴを編み上げてしまう器用さも見せてくれた。

男性は、捜索隊に鳥取名物「らっきょう」をふるまってくれた。らっきょう農家の手伝いに行った際におすそ分けしてもらったものを毎年自分で漬けているという自慢の一品だ。

「山を下りてこいや」と言われるそうだが、「水が綺麗で、自然の声が聞ける。生まれ育った故郷が一番居心地がいい。住めば都です」という男性の言葉に、ゲストの榊原郁恵は、「なんでだろう、涙が出ちゃう。自然を感じながら謙虚に生きる姿に心打たれた」と深く感動。MCの所ジョージも「幸せは街の中だけにあるのではない」と男性の生き方に共感した。

©ABCテレビ

ゲストに榊原郁恵と藤原大祐を迎えたバラエティ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)は、10月26日(日)の放送で紹介された。ABCテレビ・テレビ朝日系列『ポツンと一軒家』は、毎週日曜ごご7時58分から放送中。TVerでも無料見逃し配信。

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