市川由衣 若い頃は振り回すタイプの男性が魅力的に見えたり、惹かれたりした
ドラマ『すべての恋が終わるとしても』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10時15分)は、“忘れられない恋”をテーマにした切ないラブストーリー。10代、20代、30代、さまざまな世代の8人の男女の恋愛を描く本作で、白洲迅さんと共に30代社会人の“大人の恋愛”を演じる市川由衣さん。インタビュー前半では、演じた宮内郁子について伺いました。

――演じられた宮内郁子は、ショップのバイヤーとして国内外を飛び回っているキャリアウーマンです。市川さんはどんな女性だと思われましたか。
自由な女性。周りから見たら空気を読まない人に見えるかもしれないけれど、本人は至って一生懸命生きていて、仕事をすごく愛しているんですよね。ただ周りが見えなくなって、人を振り回してしまうところがある印象です。
――ご自身との共通点はありますか。
共通点がこんなにもない役をやるのは、初めてかも。むしろ野北(白洲迅)の方が共感は大きかったので、なかなか珍しいパターンでした(笑)。だから、すごく難しかったんですよね……。ただ、自分が今まで出会ってきた郁子タイプの人を思い返すと、男性に多かった気がします。女性でも仕事に一生懸命な人はいるけれど、私の周りには郁子のように男性を振り回しているように見える方はいなかった。だから、すごく考えて演じました。

――役作りはどのように?
私も若い頃、振り回すタイプの男性が魅力的に見えたり、惹かれたりしたので、そういう人を参考にしましたね(笑)。
何を考えてるかわからない人、多くを語らない人って、知りたくなるから。野北は郁子のそういうところに惹かれたのかなと思います。
だから、どうしたら郁子が魅力的に見えるかを考えました。ただ自由に自分の気持ちだけで動いているように見えるけれど、それは彼女の過去の恋愛や自分自身のトラウマがあっての行動だと思うので、その部分を深堀りした感じです。
――郁子は、こじらせた恋愛の経験がありそうですね。
郁子の中にはずっと、忘れられない人がいるんです。でもその時の郁子には仕事が大事で、その人を大事にすることができなかった。野北のことも本気で好きになったけれど、また同じことを繰り返してしまうんじゃないかという不安があって踏み込めないんじゃないかな。
――振り回すのは、不安の裏返し?
郁子に関しては、いろいろな捉え方ができると思うんです。だから監督ともかなり話し合いました。監督からは「郁子にとって野北は、2番目に好きな人」という話もあったのですが、それだと私の中で筋が通らなくて。「ちゃんと好きなんだけど、そこに行けない理由があると捉えている」と話しました。

――忘れられない人が郁子の傷になっているんですね。
そうですね。私は、そう考えました。
――作中では、10代、20代、30代のさまざまな恋愛模様が描かれています。市川さんから見て、主人公の羽沢由宇(葵わかな)と大崎真央(神尾楓珠)の恋愛はどのように見えていますか。
懐かしいですね。タンスの奥に眠っていたものを見つけた感じ(笑)。急に「会えない」と言われた時の悲しさとか、昨日まで「おはよう」と何気ないメッセージのやりとりをしていたのに連絡が取れなくなるとか。「あ~、こういう思いしたな」というのをあの2人を見るとめちゃくちゃ思い出します。だから1話を見た時、すごく泣いちゃって……。「こんな気持ちを思い出させてくれてありがとう!」と思いました(笑)。世代問わず共感できるし、見ていただけるドラマになっていると思います。
――3話は野北と郁子の出会いのシーンから始まります。印象に残っているシーンやセリフはありますか。
野北を誘うときに言う、「お兄さん、1時間おいくらですか?」というセリフがすごく郁子っぽいなと思いました。そんなこと言う人なんて見たことがないし、すごくインパクトがある。郁子らしさが出ているセリフだと思いました。

――野北は、最初から郁子に振り回されていますね(笑)。
仕事場で出会ったその日に2人で居酒屋に行って、そこから恋愛に発展していく流れがすごく青春って感じなんですよ。大人になってもこういう青春の瞬間ってあるんだなと思えました。予告でもちょっと使われていた、郁子が野北の手を引っ張って走るシーンは、大人のキラキラした青春という感じがして、好きですね。
――これからの、野北・郁子カップルの見どころを教えてください。
野北と出会って、野北の思いをどう受け入れていくのかが、郁子の見どころだと思います。これからの大人のカップルの行く末を見守ってください。

ドラマ『すべての恋が終わるとしても』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。U-NEXT、Prime Videoでは全話配信。
取材・文/坂本ゆかり



