葵わかな 「座長として大事にしたいこと」

恋の終わりを描く切ない群像ラブストーリー「すべての恋が終わるとしても」(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜夜10:15)。由宇(葵わかな)と真央(神尾楓珠)を中心に、男女8人の人間関係が丁寧に描かれている。

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今回は、主人公の羽沢由宇を演じる葵さんに、初共演の神尾さんの印象や年齢を重ねて変化していると感じることについて教えてもらいました。

――由宇の恋人・真央を演じる神尾さんとは初共演だったとのことですが。

神尾さんに対してクールな印象を勝手に持っていたのですが、実際はフランクでおしゃべり好きなのでギャップを感じました。少年がそのまま大きくなったような方でしたね(笑)。撮影現場ではお芝居の話というより、どちらかというと日常のコミュニケーションを多く取っていた感じです。私自身、現場の空気感を大切にしたいと思うタイプなので、まずは由宇と真央が高校の同級生であるという雰囲気が作れたらと思っていたら、意外とすぐに感覚が掴めた気がします。それもこれも神尾さんがフランクだったおかげです。

――温かな雰囲気の現場だったとのことですが、ムードメーカーは誰だったんですか?

皆さん明るい方ばかりだったのですが、やはり藤原(丈一郎)さんが現場に来たときはかなり盛り上がりました。全員と垣根なく話してくださる方なので現場がパッと明るくなって。神尾さんともよく話していましたね。その姿は小学生みたいでしたけど(笑)。今回は群像劇ということもあり、神尾さんたちとのシーン以外にも、会社や同級生……といったいろいろなシーンごとに世界があったので、すごく楽しかったです。別れの物語ですが現場は明るかったです。

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――会見でも皆さんの仲の良さが伝わってきました。

実際現場に入っていると3カ月というのはあっという間なんですよ。ただ普通の“あっという間だった”という感想で終わらせないためにも、現場に入っているときは皆さんとの出会いを楽しいものにしようといろいろ考えています。だから撮影が終わると寂しくなってしまって(笑)。すごく不思議なんですが、最終日はあまり寂しくないんですよ、達成感の方が強いというか。撮影が終わりにかけて寂しさが増えていき、当日はケロッとしていて、3日後くらいからまた寂しくなってくる……。今回も寂しくなってくるので、ぜひ皆さんのSNSなどを覗いて元気を出そうと思っています。

――今回は座長でしたが、現場の居方や雰囲気の作り方などは、NHK連続テレビ小説「わろてんか」で学んだのですか?

当時はまだ自分に実力があるとも思えない時期で、座長という自覚は全くなかったです。お芝居ももちろんですが、現場の居方、周りの人との関わり方など、何もかもを教えていただいた現場というか。周りの皆さんが座長をされている方ばかりだったので、その中で過ごすことで自然と教えていただいたことも多かったと思います。そして現場で大事にしたいと思ったのはチームワーク。長丁場だったこともあり、一にも二にも仲間と絆が大事で。それは今の現場でも大事にしたいことの一つになっています。

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――10代から俳優の仕事をされていますが、年を経て変わったと感じる部分や変わらないと感じる部分を教えてください。

変わらないのは根が真面目なところ。どんなことでも全力疾走してしまう部分は今も昔もあります。ただ変わったと感じる部分としては、その真面目なところが少しずつ柔らかくなってきているところです。昔はもうちょっとできるのではないかと、すべてを完璧にしようとするところがあったのですが、今はその時々によって変えようと思えるようになりました。完璧じゃない自分も認められるようになってきました。

――何かきっかけはあったのですか?

素敵な先輩方とお会いしているうちに、私もこういう人になりたいと憧れみたいなものを持ち、そこから徐々にです。素敵な人は言うこと言わないことの選択のチョイスが素晴らしいんですよ。大切なのは全てを伝えるのではなく、何を言わないかを選択できる人で。引くことの大事さを最近学んでいます。

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――今回は出会いと別れが描かれた作品ですが、今まで触れた映画やドラマ、小説などで忘れられない恋はありますか?

ラブストーリーも好きですし、人間ドラマの中に描かれる恋も好きなのですが、それこそ子どもの頃に憧れたのは「おジャ魔女ドレミ」の(藤原)はづきちゃんと同級生の男の子・(矢田)まさるくんとの淡い恋。お互い気になっている感じがかわいかったんですよ。あと「美少女戦士セーラームーン」の(月野)うさぎとタキシード仮面との関係も夢中になっていました。一方的に守ってもらうのではなく、戦ったり力を合わせて解決するというのが好きでした。

――本作は、140文字で綴られた物語「すべての恋が終わるとしても」が原作ですが、原作モノを演じる難しさは感じますか?

難しさというより、平面だった世界が立体的になる面白さを感じることの方が多いです。どう見せられるのか可能性がたくさん広がっているので、前向きな気持ちが強いというか。ただ今回は140文字の中に詰まっている思いをドラマにして描いているのでまたちょっと違って、短歌や詩を映像化する感覚に近いという気がしていて。原作を知っている方にとっては、どことどこを組み合わせてこの物語ができているなど新たな発見も詰まっているのではと思っています。原作を知っている方もそうでない方も楽しんでいただければと思います。

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ドラマ『すべての恋が終わるとしても』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜よる10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。U-NEXT、Prime Videoでは全話配信。

取材・文/玉置晴子

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