支えてくれた亡き母へ 成長した姿を見せる夏 享年60、「甲子園に出るまで生きていてほしい」北海・吉井天星選手が「ここぞ!」の場面で奇跡を見せる
夏の甲子園(第107回全国高等学校野球選手権大会)6日目にあたる8月11日に、全国最多となる夏の甲子園出場41回を誇る北海(南北海道)が登場。ショートの3年生・吉井天星選手は、2025年3月に60歳で亡くなった母親に自身の成長を見せ、「ここぞ!」という場面で何度も奇跡を起こした!
【TVer】すい臓がんのため60歳でこの世を去った、北海・吉井天星選手の最愛の母……。彼女が息子に綴った手紙 最後の言葉とは
吉井選手にとって母親は、「いつも優しく接してくれて、自分にとって頼れる」「尊敬できる」なくてはならない大切な存在だった。しかし、そんな母親がすい臓がんに。「甲子園に出るまで生きていてほしい」という吉井選手の願いはかなわず、彼の母親は今年3月に逝去。享年60だった。
試合中、吉井選手のユニフォームの後ろポケットには、亡き母の手紙が入ったお守りがいつもある。「小さいころから野球一筋で本当によくがんばったと思います。そして天星は、ここぞ!という時に何かをしてくれる、持っている男だと思う! 自分に自信を持ってがんばってね」という母親のメッセージは、不安な気持ちを消してくれると吉井選手は語った。
亡き母からいつも「一生懸命やれ」と言われていた吉井選手は、「(自分の)いいプレーするところを(母親に)見て成長を感じてもらいたい」という気持ちで、8月11日の東海大熊本星翔(熊本)戦へ。東海大熊本星翔がリードする5回裏、ノーアウト2塁のチャンスで吉井選手は送りバントを見事成功させ、仲間たちにつないだ! 彼のここぞという時の活躍によって、この回に北海は東海大熊本星翔と同点に追いついた。
しかし7回表に、北海の守備にほころびが出る。吉井選手をはじめ、北海ナインはミスを連発し、この回で東海大熊本星翔に6点を与えてしまう。その後も北海は東海大熊本星翔との点差を縮められず、8回裏を迎えた。
2アウト1・2塁、またもやここぞという場面で打席に立ったのは、吉井選手だ。亡き母の言葉を信じた吉井選手は、レフトにタイムリーヒット! これによって北海は、1点を返した。
吉井選手のタイムリーヒットは良い流れを呼び、北海は1点、また1点と得点。ついには3点差まで詰め寄った! ベンチに戻って仲間たちを鼓舞する吉井選手の右手の中には、お守りがあるのだろうか。彼は、固く握った手の中を時折確かめるように覗き、勝利を祈り続けた。
しかし、吉井選手の願いはあと一歩のところで届かず、北海は東海大熊本星翔に7対10で敗北。試合後に吉井選手は、「母が天国で頑張っている姿を見ていてくれたから、自分の中では全力を尽くせた」「(母に)ありがとうと伝えたい」と大粒の涙を流しながら語り、夢舞台・阪神甲子園球場を去っていった。
なお、北海と東海大熊本星翔の試合ハイライトは、8月11日に放送された『熱闘甲子園』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)で紹介された。
