失敗して後悔した今だから、想いの強さが分かる。やり直しを誓ったヒロインは……『傷心タイムリープ』第4話
人気作家の二語十が原作・シリーズ構成・脚本を務め、イラストレーターtanuのキャラクターデザインも注目の『傷心タイムリープ』。気鋭のライトノベル作家とイラストレーターが組んだ4連作ショートアニメプロジェクト『週刊ラノベアニメ』内の1作だ。
3話で、和瀬とのすれ違いのきっかけになった席替えの直前にタイムリープした主人公の若菜美梨(CV:高柳知葉)。4話では、その日の若菜の行動と心の内が描かれていく。
「相変わらず、よく食べるねえ」
仲の良いクラスメイトの芦屋 蓮(CV:川島零士)、阿南 都(CV:根本京里)、そして和瀬樹(CV:坂田将吾)と保健室でランチをともにする若菜。
都「そういえば今日、席替えだったっけ」
若菜「そう、だったね」
芦屋「俺の確かな情報によると、今回は自分たちで自由に決めていいらしいぜ」
和瀬「へえ、そんなことあんのか」
芦屋「ああ、こないだの中間テストで、うちのクラス平均が学年トップだったご褒美らしい」
(そう、だから今日の席替えに運は関係ない。それなのに前回、和瀬と離れ離れになった理由は――)
「……ねえ和瀬。私たち、どうしよっか? 今の席のままにする?」
(答えは分かってる。この後彼はこう言うんだ)
「俺たちそろそろ、離れてもいいんじゃないか」
若菜の心の声と重なるように、和瀬が返答する。
「たまには環境を変えるのも悪くないっていうか。ほら、いい加減俺たち会話も尽きてきただろ」
(そう、過去席替えで離れ離れになったのは、この和瀬の一言が原因だった。きっと本気で言ってるわけじゃない。「ちょっとひどくない?」なんて言って、笑い話にしてしまえばいい。そのために私はここに来たんだから)
「そ? いいんじゃない?」
「……私も移動しよっかな。今の席クーラー直接あたる場所だし。それにほら、そもそも授業中あんたを起こすのもいい加減面倒だったし?」
(何でこんなこと言っちゃうんだろ。熱のせい? ううん、違う)
若菜の脳裏に、あのクリスマスの場面が浮かぶ。
(未来を、知っちゃったから――。和瀬は私のこと好きじゃない。きっとこの頃から私と離れたかったんだ)
「だから、私も賛成。隣同士は今日で終わりね」
「隣、いい?」
調理実習室で、若菜の隣に座る都。
都「このまま席替えでも美梨の横、私がもらっちゃおうかな?」
若菜「それ最高かも。……ごめんね、気を使わせて。自分で余計な種まいて問題を大きくして。ほんと、失敗ばかり」
都「いいんじゃない、たまの失敗ぐらい。そうやって後悔するってことはさ、そんだけでっかい気持ちがそこにあったって証でしょ」
都「だから大事なのはさ、その後悔に、今から美梨がどう向き合いたいか、なんじゃない?」
若菜「ありがと、都」
(私の、これから。失敗して後悔した今だからこその)
都「大丈夫。また失敗したってさ、それがいい味になるんだから」
そういって、笑いあう都と若菜。
放課後。
若菜「なんで席、移動してないの?」
和瀬「そういえば、今年のおみくじで引っ越しはよくないって書いてあったんだよ」
(なに、その嘘)
和瀬「若菜こそ、冷房があたらない席が良かったんじゃないのか」
若菜「今年は猛暑だからいいの!」
(これは本当)
和瀬「まだ5月だぞ。なんでわかるんだよ」
若菜「私の隣、飽きたんじゃないの?」
和瀬「あれは、言葉のアヤというか…お前こそ、俺のことイヤになったんじゃなかったのか」
若菜「むかついたから」
和瀬「は?」
若菜「むかついたから、あんたが白旗上げるまで隣にいてやるって決めたの!」
(失敗して、後悔して、それでもまだ終わりたくないって、そう思ったから。だから!)
若菜は、和瀬へと右手を差し出す。
「なんだそれ」と怪訝な顔をする和瀬だが、やがて立ち上がり、若菜と握手を交わす。
笑いあう2人。
(やった、やったんだ!このすれ違いが無くなれば、きっと私たちは――)

そう思った若菜を背後から青い光が包み込み―――
気が付けばあのクリスマスの夜にいた。
「ごめん、俺、若菜とは……」
呆然とする若菜。未来を変えることはできなかったのか?
ショートアニメ4本が連続で展開される『週刊ラノベアニメ』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット『ANiMAZiNG!!!』枠にて放送。TVerでも無料配信。
なお、この『傷心タイムリープ』第4話は8月2日深夜に放送された。