京都市南区久世の路上に大量発生する“怪しいカエル”!? 街の謎に秘められた出来事とは?
ABCテレビ入社2年目の中村想人アナウンサーが、街のすみっこにあるちょっとした謎や疑問を解決する「街角発見ミステリー なんやコレ!?」。第2回目は、京都市南区にある怪しい“マーキング”を調査しました。
やって来たのは、京都市南区の久世。今回の指令「京都市南区の街中にある怪しいマーキングの謎を解明せよ!」に「マーキングって?」「ムズっ!」と戸惑いながらも調査をスタートさせた中村アナ。住宅街をひたすら歩き、“マーキング”を探しますが、それらしいものは見当たりません。
そこでとりあえず、人の行き来が多そうな大通りを目指すことに。頻繁に車が行き交う交差点に差しかかったとき、ふと足下に目をやると…「あれ?ちょっと待って!」。道路にあったのは、黄色いカエルの顔。しかも1つや2つではなく、全部で11個も描かれています。
「怪しい!」と別の交差点でも調査すると、こちらにはカエルが18個も!そうなんです。「京都市南区の怪しいマーキング」の正体とは、道路に描かれたこの「カエル」。一体、なぜカエルがこんなところにいるのでしょうか?
カエルの描かれている位置が、信号を渡る横断歩道の前の歩道内にあったことから、「“ここで待て”の合図なのでは?」と推理した中村アナは、さっそく周辺に聞き込み調査を開始。道路沿いにある自動車販売店で有力な情報をゲットします。
カエルのマーキングは予想通り、子どもたちの安全を守る「とまれ」のマーク。そして色が薄くなってくると、交通安全に関係する「地域のおじさん」が「スプレーで塗っている」らしいのです。
【動画】ほほ笑んでいたり困ったような顔をしていたり、道路に描かれたカエルたちは表情豊かです。
その「おじさん」に聞けば、どうやら謎はすべて解けそうです。おじさんをどうやって探そうか?と中村アナが考えていたちょうどそのとき、緑色のベストを着た気になるおじさんを発見!「めちゃめちゃいいタイミング!」と喜ぶ中村アナが出会ったこの方こそが、カエルを描いているおじさん・小西武男さん(86)でした。
京都府南交通安全協会の会長を務める小西さん。ここ久世学区のカエルはすべて担当していて、これまでに218個も描いているそう。スタートしたのは昭和46年で、すでに53年の歴史があるといいます。
小西さんの思い出に残るカエルも見せていただきました。それは昭和46年、一番最初に描いたカエル。ペンキが何重にも塗り重ねられたような跡が年季を感じさせますが、かなり丁寧に描かれ、ほかの簡略化されたカエルたちとは、かなり印象が違うような?
シンプルになりすぎて、もはや「カエルじゃないんじゃない?みたいなのもありますね」と中村アナが指摘すると、「無きにしも非ずです」と笑う小西さん。カエルをなぜ「とまれ」マークに選んだのか?その理由がわかる場所に案内してくれました。
そこは児童公園。フェンスに貼られたチラシには、カエルのイラストと「ゲコゲコタイム 午後2時から5時半」の文字が。カエルのマークは、「下校」とカエルの鳴き声の「ゲコゲコ」をかけたダジャレから生まれたものだったのです。
今も下校時には交差点に立ち、子どもたちの安全を守る小西さん。53年前に「ゲコゲコタイム」を始めた背景には、ある忘れられない出来事があったそうです。
昭和38年、小西さんは当時21歳だった弟を交通事故で亡くしました。地域の子どもたちや親たちにはそのような悲劇を「経験してもらいたくない」。その思いが交通安全のボランティア活動を長年続ける小西さんの原点です。
「私のような思いをすることが、せめてこの久世学区だけでも起きてほしくないというのが、私の思いなんです」。手作り感あふれる素朴なカエルのマーキングには、そんな小西さんの祈りが込められていました。
京都市南区で街で謎に迫った「街角発見ミステリー なんやコレ!?」は、6月25日(水)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
