こたけ正義感「至福の時間ですよ」 ラジオパーソナリティーとしての喜びを明かす
現役弁護士でもあるお笑い芸人のこたけ正義感さんがパーソナリティーを務める「こたけ正義感の聞けば無罪」が、今年の4月よりABCラジオの地上波に進出!単独インタビューの後編では、お笑いファンからも大好評の「ゲスト回」を振り返りつつ、番組イベントの可能性について直撃しました。

ーーPodcast時代に反響の大きかった回もお聞きしたいです。
やっぱりゲスト回の反響が大きいですね。中でも令和ロマン回、永野さん回、ダウ90000の蓮見回。単純に面白いというのもあるし、Aマッソさん回もそうですが、そのファンの人たちも「普段聞けないことを聞いてくれている」と喜んでもらえたみたいです。僕はみなさんにすごく興味があるので、興味のままに一生懸命に話を聞いているだけなんですけど。
ーーゲストはこたけさんが話したい人、興味のある人を呼んでいるのでしょうか?
僕は人選にまったく関与していないので、スタッフさんのセンスのみです。
ーーこたけさんと親しい方が多いので、希望を出しているのかと。
違うんですよ。非常にセンスがいいので、いい人選をしていただいています。
ーーゲストへの質問は事前に考えますか?
全然考えてないです。そのとき思ったことを聞いてます。
ーーええええ!?
なんでそんなに驚くんですか?(笑)
ーー私はこういう仕事柄、質問を考えていくので。
ああ、なるほど。こういう記事の場合は聞かなければいけないことを整理しておく必要があると思うんですけど、ラジオはライブ感や盛り上がることが大事なので、流れに乗っていって、その瞬間に本当に興味があることを聞いた方がうまくいく気がします。一応作家の方がゲストのエピソードを準備してくれているので、それは事前に頭に入れてます。そういう意味での準備はあるんですけど、準備をした上で使わないことが多いですね。

ーーさきほどお名前が出た芸人さんもそうですが、ランジャタイの国崎さんなど、ファン以外の方には誤解されがちな芸人さんもよく出演されてますよね。
はいはいはい。みなみかわさんもそうですよね。
ーーこたけさんとのトークを聞いて、ゲストを好きになったという声も多いですよね。
それ、結構言ってもらえることがあります。「この芸人さん苦手やったけど『聞けば無罪』で好きになった」って。めっちゃ嬉しい感想です。
ーーこたけさんの引き出し方が上手ですし、芸人さんたちもリラックスして普段は言わないことまで話しているなと感じます。何か心がけていることはありますか?
いや、本当にないんですよね。単純に僕がゲストのことを好きで、それが本人にも伝わっているから、安心して話してくれている気がします。そして、僕の愛情がリスナーに若干伝わって、同じ目線で愛情を感じてくれているのかもしれないです。
ーーたしかに、取材相手への愛情や好奇心って本当に大事ですよね。ゲストに対する「世間からの誤解を解きたい」という意図はありますか?
それはまったくないですね(笑)。個人的に聞きたいことを聞いているだけなので。なんなら、リスナーが知りたいことを聞くという視点もないです。
ーー興味がある人に聞きたいことをとことん聞くというスタンスなんですね。
そうですね。誰の邪魔もされずに、好きな人に聞きたいことを聞けるというのは至福の時間ですよ。Podcastは本来30分番組だったんですけど、ゲスト回は当たり前のように1時間ぐらい話しちゃってましたね。時間通りにやらなければいけないとわかりながらも、聞きたいことが止まらないんです。
ーー途中でラジオの収録中だと忘れることも?
めちゃくちゃあります。それをたまに反省しています。一番忘れたのは同期のGパンパンダ回です。ラジオどころかエンタメだということすらも一瞬忘れた時間がありました。
ーーあのとき、こたけさんはどういう心境だったんですか?愛ゆえなのか、わりと冷徹だなと…。
アハハハ!冷徹に見えますよね。Gパンパンダにはもどかしい感情をずっと抱いていたので、日々溜めていた「しっかりしろよ!」という気持ちをあそこでぶつけてしまいました。他の人のときはそういうことは起きないんですけど。
ーーそれを反省したわけですね?
いや、あれは反省してないです。あれはあれで、ドキュメンタリーの面白さもあるかなと。

ーー話し終わって、一番疲れたゲストはどなたですか?
ランジャタイの国崎さんですね。話していて驚くことが多過ぎて、いい疲労感がありました。同じ芸人とは思えない感性なんで。芸人の中でも特に変過ぎるから、「こんな人間いるんだ!」と衝撃でした。
ーー永野さんがゲストの回は、永野さんが逆にこたけさんの内面を掘っていくようにも見えました。
たしかに永野さんは投げかけてくるんで、こっちも考える感じになるんですよね。思考が一緒に深くなっていく感覚があって、永野さんのそういうところがすごく好きです。あの人のテクニックなんですけど、自分の話をするときに「こたけも多分一緒だと思うけど」という言葉を合間合間に挟んでくるので、自分も同時に考えさせられるんです。「仲間じゃん?俺ら」というニュアンスもあって。生存戦略かわかんないですけど(笑)。言い方が、人たらしなんですよね。
ーータイトルについて質問です。「聞けば無罪」ということは、この番組を聞けば無罪になるんですよね?
そうです。聞けば無罪になります。
ーーでは、「どんな人を無罪にしてあげたい(=どんな人に聞いてほしい)」ですか?
あ~、誰かなあ…(しばらく考えて)もちろん好きに聞いて楽しんでくれればいいんですけど、最近「この番組に救われました」というメールをいただいて。僕は意図していなかったんですけど、非常に嬉しかったです。お笑いなんで意味なんてなくてもいいんですけど、意味付けして喜んでくれる人もいるんだなと。僕は意味付けしてるわけじゃないんですけど、聞き手が自分なりに解釈して、プラスに受け取ってくれるのは嬉しいです。
ーーそういったリスナーにも直接会える、ラジオのリアルイベントが最近盛り上がっていますが、「聞けば無罪」のイベントも開催したいですか?
やってみたいです。いつも聞いてくれているリスナーにも集まってもらいたいですね。あと、新たな発見がある気がしてて。
ーーどんな発見ですか?
ラジオイベントをやると何千人も集まるのに、ネタライブだと集客できない芸人がいるんですよ。本当に不思議なんですよね。「どういうこと?」っていう。その人であればいいわけじゃないんです。ラジオイベントとお笑いライブにも違いがある気がしてて。僕がラジオイベントをまだやったことがないので、「聞けば無罪」でイベントをやったときにその違いもわかるのかなって。

ーーこたけさんは「地上波ラジオをやりたい」という目標を公言し続け、それが言霊となり、実現しました。今、声に出したい目標は?
僕がやってる60分の漫談ライブ「弁論」を大きいところでやりたいです。その目標に向けて活動している感じはあります。前回は「杉並セシオン」(500人収容)でやりましたが、それを徐々に大きくしていって、日本武道館でやりたいです。武道館に特別思い入れがあるわけではないんですけど、わかりやすいのでファンも喜ぶんじゃないかなと。武道館はステージから360度をぐるりと見渡せて、1万人も入るところがいいですよね。「弁論」はそのぐらいの規模のライブにできるという自信があるので、それを形にしたいです。
取材・文/須永貴子
編集/瓶底めがね
