75歳祖母は大阪万博の人間洗濯機コンパニオン。半世紀経て21歳孫娘にバトンつなぐ「これは奇跡」

4月13日に開催を控えた大阪・関西万博の展示物の中で、特に注目が高まっている「ミライ人間洗濯機」。1970年の大阪万博で展示された「ウルトラソニックバス(通称:人間洗濯機)」が、半世紀を経て進化したものだ。実は万博には、人間洗濯機がつなぐ家族の奇跡の物語があった。

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1970年の大阪万博は、アジア初かつ日本初ということで、当時は大きな話題に。来場客数は6400万人以上で、人気パビリオンの待ち時間が4~5時間になるのは当たり前だった。中でも連日大盛況だったのが、三洋電機(現在はパナソニックホールディングスの子会社)が開発した人間洗濯機。超音波の泡で、体の汚れを落とすという画期的なものだ。

大阪で生活している75歳の女性は、実は人間洗濯機の説明をするコンパニオンだった。彼女いわく、実演ショー中は人間洗濯機を大勢の来場客が取り囲んで大混雑。高度経済成長の真っただ中である1970年は、自宅にお風呂がある家庭は少なかったそう。元コンパニオン女性が所有する写真からは、来場客たちの興奮と熱気が伝わってくる。

元コンパニオンの女性には、京都芸術大学に通う21歳の孫娘がいる。孫娘は、小学4年生のときに出会った大阪万博の制服図鑑で、祖母が元コンパニオンだったことを知った。当時孫娘は、「ばあばが歴史的な資料に残っているっていうのが、私はまずビックリしたのと、あと、衣装がかわいい」と思ったのだとか。そして、大阪・関西万博の開催が決まった際に、「私も万博で働きたい」という思いが芽生えたという。

その思いは実を結び、孫娘は大阪・関西万博のアテンダント(案内役)に。担当するのは、なんとミライ人間洗濯機! 55年の時を経て、祖母と同じ舞台に立つことになったのだ。「私が3~4年生まれるのが遅かったら、まだ高校生なので働けないし。本当に今で(タイミングが)良かった」「これは奇跡ですね!」と、孫娘は嬉しそう。

そんな孫娘に元コンパニオンの女性は、1970年時の衣装を特別に着せてあげた。黄色のミニワンピースの衣装に、「かわいい~!」と孫娘は大感激。祖母の真似をして、「未来のお風呂、ウルトラソニックバスでございます」とアナウンスしてみた。笑顔の孫娘に、元コンパニオンの女性も嬉しそう。「孫の夢がかなったっていうのもあるんですけど、私の夢もかなったかもね」「あの小っちゃかった孫ができるなんて」と、にこやかに語った。

なお、人間洗濯機がつないだ祖母と孫娘の物語は、4月7日にABCテレビで放送された番組『1970→2025 万博が“つなぐ”関西の半世紀』の第1回「万博みてきただ」で紹介された。

番組情報

1970→2025 万博が“つなぐ”関西の半世紀
毎月第一月曜深夜1時39分

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