『探偵!ナイトスクープ』 大東駿介「離婚も含めて、そばにいる人の気持ちが1番よくわからない」
関西を中心に、35年以上に渡り愛され続けてきたバラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』。同番組に着想を得たスペシャルドラマ『あの夜をすくいに』(ABCテレビ)が、3月28日(金)に放送される。本作は、とある家族の複雑に入り組んだ一夜を描くヒューマンドラマで、主演に村川絵梨、夫役に大東駿介、幼馴染役に細川岳でおくる『探偵!ナイトスクープ』から始まるオリジナルストーリーだ。

関西初の名物番組が題材となったことでも話題となったが、今回は本作の魅力について大東駿介にインタビュー。大阪出身で番組を観て育ったからこそ、「『探偵!ナイトスクープ』の遺伝子が流れている」という大東。本作の見どころについてはもちろん、『探偵!ナイトスクープ』が長年に渡り人々を惹きつけてきた魅力について訊いた。
あらすじ
小学生のころ「夜の学校に行ってみたい」という依頼で『探偵!ナイトスクープ』に出演した幼馴染二人が大人になり、現在は離婚にあと一歩踏み切れない悩める夫婦が描かれる。小学生の一人娘はそんな両親から逃げるように、友人と夜の学校に家出する。娘の捜索のため、学校に忍び込んだ夫婦はそこで長年行方知らずだったある人物とまさかの再会。忘れていた過去、娘の悩み、掘り起こしたタイムカプセル。夜の学校でそれぞれと向き合うことで家族の問題は『探偵!ナイトスクープ』のように「チャチャチャン♪」と解決を迎えるのか・・・。

――大阪で生まれ育った大東さんにとって、『探偵!ナイトスクープ 』はどんな番組でしたか?
小学生が初めて夜更かしして見る番組が、当時は『探偵!ナイトスクープ 』でした。月曜日に学校へ行くと、みんなで『探偵!ナイトスクープ 』の話をするところから始まるような、みんな観ている番組というイメージですね。
僕はもともと早く寝るタイプだったので、『ナイトQ』(毎週(月)~(金)午後11時20分から放送されていたクイズ番組)が始まるぐらいにはもう眠くて……「はよ!円(広志)さんの歌、始まって!」みたいな気持ちでした。そしてあのテーマソング(円広志「ハートスランプ二人ぼっち」)が聞こえたら目が醒めて、楽しみに観ていた記憶があります。当時は探偵が、長原成樹さんとか北野誠さんでしたね。
――特に印象に残っている依頼はありますか?
いっぱいあるんですけど……やっぱり「パラダイス」(※)シリーズですね。子供ながらに「こんな場所があんねや!」って惹きつけられていました。未だに昔は栄えていた雰囲気がある地方の観光地に行った時は「パラダイス」らしきところを探している自分がいますね。あとは、しょうもない回が好きで「奈良健康ランドのCMで映ってはいけない局部が映ってるんじゃないか」という依頼とか。解決にいたらなかった、不気味でゾッとするような回も印象に残ってます。
※桂小枝探偵が、集客のなさそうなアミューズメントスポット(B級スポット)などを調査し、面白く紹介する定番企画。

――『探偵!ナイトスクープ 』は番組開始から35年以上になりました。大東さんは、番組のどういうところが魅力だと思いますか?
バラエティでありながら、短い人間ドラマを観ているようなところですかね。登場する依頼者たちは有名人ではない一般の方だから視聴者は知らない人のはずなのに、依頼を解決するまでわずか10分ほどの時間で、その人が依頼に至った背景から家庭環境まで見えるような、その人の人間性を引き出すような編集が、バラエティでありながらもドキュメントであり、人間ドラマなんですよね。特に僕たちが子供の頃の『探偵!ナイトスクープ 』は、局長が上岡龍太郎さんで、一瞬バラエティーの範疇を超える瞬間もあって。ただただ笑えておもしろいだけじゃない、胸に刺さるものがある特殊な番組だと思います。
――依頼者も探偵も、時には局長も怒ったり、泣いたりと本気でお互いに向き合って、ぶつかっているところにグッときますよね。
そうなんです。バラエティの手だれである探偵が、あくまでも依頼者の人間味を引き出す役割に徹している、「人」をテーマにした番組ですよね。依頼者の方は切実に解決してほしくて依頼している。それを解決しようとする探偵も、依頼を選んだ作家さんもプロデューサーも、映像を編集するディレクターも、その様子を見届ける局長もみんな本気なんですよね。本気だからこそそれぞれの人間味がビシビシと伝わってくる。今思うと緊張と緩和みたいなものがあって、観ていてすごく心地よかったし、子供ながらに魅了されたんだと思います。

――そんな昔から馴染みのある番組に、今回「顧問」としてゲスト出演されることに。
すごく嬉しいんですけど、ドラマでは子供の頃に依頼したことがある設定の役を演じているので、依頼人として出た方がよかったんじゃないかな?と思っています(笑)。『探偵!ナイトスクープ』が放送されたあとにドラマが放送されるので、番組の延長線にある物語としてぜひ観てほしいですね。
――ちなみに、大東さんならどんなことを探偵に依頼しますか?
関西人なら誰もが一度は考えたことありますよね(笑)。いくつかあるんですけど、自分のなかで厳しくジャッジした結果、全部ボツになりました。やっぱり、『探偵!ナイトスクープ 』はそんな簡単にはいかないぞと(笑)。

――ドラマ『あの夜をすくいに』は、「夜の学校に忍び込みたい」という子供たちの可愛らしい依頼から、その背景には両親の離婚問題というシリアスなテーマがありますよね。
まさに離婚が1つのテーマになってるんですけど、『探偵!ナイトスクープ 』らしい解釈でいくと、離婚がいいか悪いかとかという善悪の判断じゃないと思うんです。人としてどう生きていくか、夫婦としてどう生きていくのかという1人1人の人間ドラマが、丁寧に描かれてると思います。僕が演じている主人公・朝子の夫・隼人も、幼馴染の奥さんになぜ離婚を切り出されたのかわからない。奥さんには「あんたのそういうところが嫌やねん」と言われている。夫婦生活が当たり前になってしまっていて、愛情とか綺麗ごとでは済ますことができない問題に。そんな2人の関係が、どういうところに着地するのか。そのメッセージはぜひドラマを観て、それぞれに感じとってほしいところですね。白黒の答えを提示するのではなくて、受け取った人に考えさせられるようなところも『探偵!ナイトスクープ 』の魅力だと思うので。
――「離婚」というテーマを通して、今の自分を見つめ直すキッカケになるような。
そうですね。当事者というのはやっぱり気づかないことが多いんですよね。離婚も含めて、きっと側にいる人の気持ちが1番よくわからない。『探偵!ナイトスクープ 』は見知らぬあの人、通りすがりのあの人にも、こんな人間ドラマがあるということを教えてくれる番組だと思うんです。身近な人の気持ちがわからなくても、通りすがりの人にも間違いなくいろんな背景があって、おもろい人生がある。それを知ることができれば、改めて目の前の人と向き合おうかなというキッカケにもなるかもしれない。本作はドラマではあるんですけど、そんな『探偵!ナイトスクープ 』で放送された1つの依頼のような感覚で観てもらえると嬉しいですね。

ドラマ『あの夜をすくいに』は、ABCテレビにて3月28日(金)深夜0時24分から放送。放送終了後、TVer・ABEMAで見逃し配信。
