生粋の滋賀っ子が起業 漁師と建築家を合わせた「フィッシャーアーキテクト」とは?
滋賀の大津にあるショッピングモール「ブランチ大津京」。今年4月、ここに新しいレストランができて話題になっています。『ν-BOTTOM HUM(ニューボトム はむ)』。地元の食材を味わえるお店ですが、ここの魚を納めているのが、「ニューボトム はむ」の発起人の一人である、漁師の駒井健也さんです。「琵琶湖は鮎が有名ですが、他の魚も美味しいのに、加工に手間がかかるため、あまり流通していません。そこで、漁師が料理人と直接つながることで、琵琶湖の魚を届けようとしています」と語る駒井さん。
駒井さんが新鮮な湖魚を、有機農家の加地さんが野菜を納め、料理人の小村さんが調理を担当。「琵琶湖のアクアパッツァ」や「フナのきずしのサラダ」など、琵琶湖の恵みを生かしたオリジナルメニューが誕生しています。
朝5時。漁に出た駒井さんを追います。「年間を通じて30種類ぐらいの魚介類を捕ります。それほど琵琶湖の魚は種類が豊富なんです」。漁法は「魞漁」(えりりょう)。琵琶湖では1000年以上前から続く伝統の漁法です。他にも、延縄漁や刺し網漁など、15種類もの漁法を使い分けているといいます。「今の時期だと、コアユ、スジエビ、ホンモロコ、ワカサギなどが捕れます」。
朝9時。漁港に戻った駒井さんは、「フィッシャーアーキテクト」と名付けた拠点で、午前中に下処理を終えたら、京都の料理店へ配達です。
7月。草津川跡地公園で開かれたマーケットに出店した駒井さんですが、料理を販売するだけではありません。水槽に生きた魚を泳がせ、子供たちに見てもらう「ミニ水族館」を開いています。これを機に、琵琶湖をもっと身近に感じてもらいたいと考えたのです。
生粋の滋賀っ子の駒井さんは滋賀県立大学で建築デザイン科を学び、大学院を卒業。しかし、研究や調査で漁師さんから琵琶湖の奥深さを教えられ、琵琶湖をもっと知りたいという思いが強くなり、漁師になることを決意します。漁業協同組合の親方に弟子入りし、鮮魚店では魚の調理について研修。2020年に琵琶湖の漁師として独立し、漁師と建築家を合わせた「フィッシャーアーキテクト」を起業したのです。
琵琶湖の魅力を伝えたいと、漁師の枠を超え、様々な人たちとつながり、活動する駒井さん。フィッシャーアーキテクトを“琵琶湖の暮らしを伝えるための拠点”にしたいと、クラウドファンディングも募りました。返礼イベントに向けた琵琶湖の高級魚を使った料理は7月29日 土曜 午前11時から『LIFE~夢のカタチ~』でご紹介します。(ABCテレビ/関西地域で放送、TVer見逃し配信あり)
「ν-Bottom HUM ニューボトム はむ」
滋賀県大津市 滋賀県の食材を味わえるレストラン。駒井さんが卸す湖魚が頂けます。