東日本大震災の津波で命を奪われた子どもたち 石巻・大川小学校が“遺したもの”は…

ABCテレビの夕方のニュース『newsおかえり』で過去に放送された特集企画と、YouTube公式チャンネル『ABCテレビニュース』の特集動画から選りすぐりの作品をお届けする番組『newsおかえり&YouTube傑作選』。3月10日(月)は「津波で息子は…大川小学校が“遺したもの”」と「コーヒーで“カーボンニュートラル”」の2本を放送した。

「津波で息子は…大川小学校が“遺したもの”」(『newsおかえり』2023年2月22日放送)では、東日本大震災による津波で子どもを亡くした遺族の“真実を明らかにする闘い”に迫った。

2011年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。震源地に最も近く、最大震度6強を観測した石巻市は大津波に襲われ、街は壊滅状態となった。

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海岸から直線距離で3.7km離れた石巻市立大川小学校にも、地震発生から約50分後に津波が到達。逃げ遅れた70人の児童と10人の教職員が亡くなり、児童4人の行方はいまだにわかっていない。

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佐藤和隆さん(56)の三男・雄樹くんは、当時大川小の6年生。校舎の裏には小学生なら容易に上れるなだらかな斜面の山があり、佐藤さんら親たちは「山に逃げている」ものと思っていた。しかし、児童が教員の指示で向かっていたのは裏山ではなく、川に近い海抜6mの場所。8mを超える高さにまで達した津波は子どもたちを飲み込んだ。

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なぜそうなってしまったのか?その答えを探す遺族を追ったドキュメンタリー映画『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』では、学校や行政の対応に不信感を募らせる親たちの様子が記録されている。

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学校から教育委員会に対し、避難訓練などの「防災計画」が提出されていたにもかかわらず、その内容を実際には行わなかったことが判明。さらに佐藤さんは、生き残った児童から津波に襲われる前の様子を聞き、息子の雄樹くんが「山に逃げよう」と教師に話していたことを知った。

児童はこのことを行政からの聞き取りでも証言。しかし、なぜか記録に残されず、聞き取り時のメモも廃棄されていた。雄樹くんの必死の訴えは“なかったこと”にされたのだ。

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納得がいかない遺族たちは石巻市と宮城県に損害賠償を求める裁判を起こす。証拠となる資料は津波で消失していたが、遺族らは裏山に避難した場合の時間を計測するなど自ら証拠集めに奔走。全国から注目された“津波裁判”は、一審二審ともに原告の遺族が勝訴し、学校と教育委員会による“組織的過失”を認める判決が下された。

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ともに闘った遺族らと並んでマスコミの取材に応じ、「心ある判決をいただいた」と語る佐藤さん。その後ろに、亡くなった児童の写真とともに掲げられた「先生の言うことを聞いていたのに!!」という子どもたちの叫びのような言葉に胸がしめつけられる。

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現在、大川小学校は震災の記憶や教訓を後世に伝える“震災遺構”として保存され、3月11日には追悼行事「大川竹あかり」が行われている。佐藤さんら遺族は「3月11日を忘れない」ために、手作りの竹の灯籠を灯し続けている。


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「コーヒーで“カーボンニュートラル”」(『newsおかえり』2024年1月29日放送)では、大手コーヒーメーカーが取り組む地球温暖化対策を、大仁田美咲アナウンサーが紹介した。

世界初の缶コーヒーを作ったことでも知られる老舗「UCC上島珈琲」の兵庫県たつの市にある工場では、カーボンニュートラル(温室効果ガスを吸収・除去することで排出量を差し引きゼロにすること)への新たな試みが行われている。

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生の豆を煎り、香り高いコーヒー豆へと変える巨大な“ばい煎機”。バーナーの燃料として使っている天然ガスを燃やすことで、年間約14000トンの温室効果ガスを排出されてしまう。これを少しでも減らすための研究開発が進められているエリアに大仁田アナが潜入する。

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メディア初公開となる取り組みの主役は“水素。クリーンエネルギーといわれる“水素”でばい煎すれば、化石燃料である天然ガスの使用量も抑えられ、温室効果ガスを減らすことができるのだ。

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だが、天然ガスとは性質が大きく違うため、研究に研究を重ねてようやく従来の味と遜色ないレベルにたどり着いた水素焙煎のコーヒー。今後も研究を進め、今年の春、私たちも飲めるようになるという。

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