「どこが人手不足?」「仕事をえりごのみできる時代じゃない」難航するシニアの再就職、“適職”を求める若者…ハローワークに見るイマドキ就活事情!

各業界で人手不足が叫ばれる中、国の職業安定所「ハローワーク」には、若者から高齢者まで多くの求職者が訪れています。令和の就活事情を取材しました。

大阪・梅田の大阪駅前第2ビルにある「ハローワーク梅田」。厚生労働省が運営し、仕事を探す人と求人している企業とのマッチングを支援しています。

受付が始まってすぐにやってきた50代の女性が探しているのは「大阪・関西万博」の仕事。仕事内容についての希望を伝え、会場内の巡回や来場者の誘導をするセキュリティースタッフの求人を紹介してもらいました。時給は“2200円〜”など「条件はいい」と満足そうです。

去年6月までは会社勤めをしていたというこの女性。もともと仕事に不満があり、以前から興味があった万博で働きたいと会社を辞めたそう。しかし、就職活動は難航しています。

女性はさまざまなパビリオンのスタッフ募集に応募してきましたが、ことごとく不採用に。人手不足が深刻化しているとの報道をよく耳にしますが、「人手不足はどこだろう?」と首をかしげたくなるといいます。

「ハローワーク梅田」が調べた、企業の求人と求職者の数を比較したデータでは、サービス職では求人数が求職者数の5倍以上、専門的・技術的職では3倍超。ほとんどの業種で求人の方が多く、たしかに“人手”が足りない求職者有利の売り手市場に見えます。

しかし、実際は人気の求人に求職者が集中するため、一部では企業が有利な“買い手市場”に。事務職などの人気の職種や、知名度の高い大企業を希望する人が多くいる一方、人が集まりにくい中小企業などで「人手不足感が強まっている」とハローワークの担当者は指摘します。

【動画】万博関連の就職も、人気の職種や企業では“買い手市場”と関係者。

高齢化が進む中、ハローワークを活発に利用しているのが“シニア世代”。67歳の男性は働いていた会社が突然倒産し、昨年末で無職に。前職と同じ病院関係の求人を探していますが、「一切ない」と嘆きます。

ハローワークによれば、シニア世代でも働ける求人は増えているものの、警備や介護、運転、管理、清掃の仕事がほとんど。これまでのキャリアをいかしたい人が多いシニアとのマッチングはなかなか進まないのが現状です。

そんななか、窓口にやって来たのは72歳の男性。現役時代は鉄鋼関係の会社で働き、定年後は撤去自転車の管理業務をしていましたが、この日は経験のない清掃の求人を紹介してもらいました。

「よりごのみしとったら働くとこないような時代ですよ」と男性。70歳を超えても働く理由は、経済的な不安です。妻や自分が病気になれば医療費で貯金は消え、年金も足りなくなる…。「余裕はないです」とシニア世代が置かれた厳しい状況を話してくれました。

一方、同じく梅田の阪急グランドビルには、若い世代専用のハローワーク「大阪わかものハローワーク」があります。対象は正社員を希望する35歳未満。求人の紹介はもちろん、職業の適性を調べる検査や、就活に必要な知識などを集団で学べるグループワークも無料で受けることができます。

この日、窓口に来ていたのは、ハローワークを初めて利用するという23歳の女性。新卒で昨年就職した会社を、先月退職しました。前職は顧客とのコミュニケーションが必要な営業事務。お客さんから無理難題を言われるなど、精神的な負担が大きかったといいます。

そんな女性がここでまず受けたのは、職業適性検査。自分がどんな業種や業務に向いているのか?次の就職先との相性をはかるうえでも自己分析は大切です。

相談できる職員がいて、さまざまな支援も受けられるハローワーク。利用者は、よりよい未来をつかもうとそれぞれの就活に励んでいます。

ハローワークに見る令和の就活事情は、2月25日(火)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。

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