犯行後すぐに母国へ逃走!来日外国人による「ヒット・アンド・アウェイ型犯罪」が増加!日本はなぜ狙われる?
近年、相次いでいる来日外国人による犯罪。特に短期間だけ日本に滞在し、犯行後すぐに母国へ逃げ帰る「ヒット・アンド・アウェイ型犯罪」が目立っています。なぜ日本が狙われるのか?その背景を取材しました。
1月16日、兵庫県芦屋市の閑静な住宅街が恐怖に包まれる事件が発生しました。35歳の男性が2人の男に鈍器のようなもので殴られ、刃物で腹部や足を刺されたのです。男性に全治3か月の重傷を負わせ、スマホを盗んだ犯人たちは赤い車で逃走。ナンバープレートから関西空港で借りられたレンタカーだとわかりました。
自動車のナンバーを自動的に読み取る「Nシステム」で逃走ルートを割り出すと、車は関西空港に向かっていることが判明。兵庫県警から協力を要請された大阪府警の捜査員が空港で待ち伏せし、身柄を確保して緊急逮捕となりました。
強盗殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、マレーシア国籍のイー・テン・ホウ容疑者(58)とタン・ファン・チュン容疑者(58)。調べによると、2人は何者かに襲撃を依頼され、犯行の数日前に来日。別の人物を狙っていましたが、人違いで被害男性を襲撃したと供述しています。
短期滞在の在留資格により来日し、犯行を行った後、ただちに本国に逃げ帰る単発型の犯罪「ヒット・アンド・アウェイ型犯罪」。こうした事件が増えるなか、警察庁は犯罪のグローバル化がより深刻度を増していると警鐘を鳴らしています。
「ヒット・アンド・アウェイ型」を含む外国人による犯罪は年々増加。その背景に、2014年以降の「インバウンドの激増」を挙げるのは、犯罪ジャーナリストの石原行雄さん。街で多く見かけるようになった外国人観光客に紛れ、外国人犯罪グループも「仕事がしやすくなる」というのです。
【動画】警察庁の発表によると、殺人や強盗などの凶悪犯罪で検挙された来日外国人は2013年には196人。10年後の2023年には419人と2倍以上に!
犯罪が組織化されていた場合、指揮をする指示役が来日していても、末端の実行役が犯罪をおかした後に一旦帰国する、あるいは日本から逃れると摘発もされず、組織は「日本で犯行を行い続ける」ことができてしまいます。
さらに石原さんは、日本と海外の刑罰の差にも一因があると指摘。「本国では重罪でも、日本では非常に軽微な罪で済むというケースが非常に多い」ため、捕まったとしても日本での前科がなければ執行猶予がつき、すぐに帰国できてしまうことから実行犯が集めやすく、「犯罪者の供給が後を絶たない」のです。
大阪でも昨年8月、心斎橋の商店街で「ヒット・アンド・アウェイ型犯罪」が起こりました。貴金属店に客としてやってきた男が店員を刺し、販売価格およそ6200万円の高級腕時計を奪って逃走。刺された30歳の男性店員は、その後、死亡しました。
事件発生から2時間30分後、男が逮捕された場所もまた関西空港。後に強盗殺人の罪で起訴された中国籍のホウ・ユボ被告(28)。被告とみられる人物が犯行直後、凶器らしき刃物を空き地に投げ捨てる様子が、現場近くの防犯カメラに映っていました。この後、関西空港に向かったホウ被告の持ち物からは、帰国便の航空券が見つかっています。
関西で相次いで発生した「ヒット・アンド・アウェイ」とみられる凶悪事件。元大阪府警刑事の中島正純さんは「初動捜査の重要性」を強調します。日本で罪をおかした犯人が海外に逃げてしまえば捜査は困難に。防犯カメラやNシステムなどを駆使して犯人を逃さない「時代に沿った捜査」のさらなる強化が求められています。
増加するヒット・アンド・アウェイ型犯罪の実態は、1月30日(木)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。
