西日本で唯一の特別豪雪地帯 滋賀県長浜市の限界集落で「2番目に若い住人」のは72歳!? 80歳のおじいちゃんは背丈ほどの雪をかきわけ給湯器にたどり着くのか?

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西日本で唯一、特別豪雪地帯に指定されている場所が滋賀県にあります。一帯の集落は超高齢化の限界集落。大雪に見舞われた人たちの暮らしを取材しました。

長浜市余呉町中河内は、特別豪雪地帯に指定されている旧余呉町の中でも、最も雪が積もる地域。人口減少が止まらない限界集落の冬を、取材班は3年にわたって取材しています。

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今年は1月に日本列島を襲った“最強寒波”の影響で、3年で一番の積雪量。路肩によけられた雪の高さが、記者の背丈をゆうに超えていました。雪で玄関が完全に塞がれた家や、待合室が雪で半分埋まってしまったバス停もあります。

長浜市によると、中河内地区に住民票があるのは17世帯21人。ほとんどが65歳以上の高齢者で、別の場所で家族と暮らす人や施設に移った人もいて、実際に生活しているのは13世帯ほどとみられています。

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一面の銀世界を歩いていた記者は、2年前に出会った森崎森利さん(72)に再会しました。前回は集落に澄む男性の中で「3番目に若い」と話していた森崎さん。ところが、1番若かった男性が3日前に67歳で亡くなり、「2番目」になってしまったそう。高齢化と人口減少は、年々深刻さを増しています。

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さらに歩くと、雪かきをする若い男性の姿が。彼は長浜市内の別の地域に住む34歳。祖母が持つ倉庫が倒壊しないようお手入れをしにきたのだとか。続いて出会ったのは、家の周りの除雪に励むお父さん(64)と息子さん(34)。現在は米原市に暮らすお父さんの実家だそうで、「ずっと住んでたとこだから、愛着もありますし…」と管理を続けているといいます。

【動画】すでに集落を離れた人が、手放しがたく残した家の管理もまた大変。

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中垣内に住んで24年の小杉誠さん(80)もスコップで雪と奮闘していました。聞けば、「お風呂のお湯が出ない」とのこと。雪を掘り進めること10分、ようやく姿を現した水道メーターを確認し、水道管が破裂していないことはわかりました。

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そこで、給湯器の故障を疑いますが、給湯器があるのは家の裏。背丈ほどに積もった雪に阻まれてたどり着けそうにありません。あきらめた小杉さんは家に戻り、焼き鳥をアテに焼酎を一杯。この季節、午前中に除雪を終わらせ、昼から飲むのが毎日の楽しみだそうです。

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中河内地区には週に2回、食品や日用品などを売る移動販売車の「あったか便」がやってきます。一番近いスーパーまで車で20分かかるこの地域。自分で好きなものを選んで買い物をすることは、住民にとって楽しみであり、貴重なライフラインでもあります。

ドライバーは、去年の冬に取材班が密着した中上健二さん(63)。定年退職後の再雇用という形で、スーパーマーケット「コープしが」の商品を運んでいます。

いつもは決まった場所に車を停め、住民が買いに来るというスタイルですが、今年は特に雪が多いため、車まで歩いて行くのが困難な人も。そこで、停車場所を変えてお客さんが歩く距離をできるだけ短くしたり、中上さんが家まで足を運んだり。そこでお客さんと会話を交わし、健康状態や安否を確認するのも「あったか便」の大事な役割です。

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さらに今年は、大雪による車のトラブルなどに備え、中上さんに加えてもう1人のスタッフが同行。2人体制で人件費がアップする反面、家から出てこられない住民もいるため売り上げはダウンと店には大打撃ですが、「(住民から)『助かる』と言われたら、やりがいはありますよ」と中上さんは笑顔を見せます。

故郷で暮らすことを願い、雪とともに生きる人。その想いを理解し、支える人――。寒さの中に人の温もりが灯るこの集落を、わたしたちはこれからも見守り続けます。

西日本で唯一の特別豪雪地帯の現状は、1月24日(金)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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