“工場長”は2児を育てるシングルマザー!ビジネス街のビル地下で奮闘するビール醸造家に密着!

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思わず推したくなる人たちのお仕事に密着する「#推しごと拝見」。今回は、飲んだ人の笑顔を引き出すクラフトビール醸造家の1日をのぞいてみました。

大阪市内に住む中井あかねさん(36)は、9歳の長男、7歳の二男と暮らすシングルマザー。6年前に離婚し、パートや元夫からの養育費で生計を立てていましたが、1年前に元夫が病気で急逝。子どもたちと生きていくために、フルタイムで働くことを決めました。

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午前8時、向かった職場は、大阪・堺筋本町のビジネス街。ビルの地下にある「船場ビール工場」は、あかねさんの父で社長の深さんがベルギービールをリスペクトして作ったクラフトビールの醸造所です。

かつて飲食店だったスペースの一角に8つのタンクを構え、去年2月にオープン。工場内で週5日、出来たてのビールが味わえるとあり、ビール好きに大人気です。レギュラーメニューは「ペールエール」「ゴールデンエール」「ベルジャンブラウン」の3種類。味や苦み、香りの好みで選ぶことができます。

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あかねさんはこちらの「工場長」。ビールつくりを始めて約2年、仕込みから出荷まで工程のすべてを任されています。この日の作業は「仕込み」。まずはタンクに麦芽を投入します。タンク1基の容量は300リットルもあるため、使う麦芽は大量。これを担ぎ上げてはタンクに入れる作業をひたすらくり返すあかねさん。ビールづくりとはズバリ「力仕事」なのです。

さらに、タンクをつなぐホースを交換。たくさんのパーツをひとつひとつ付け替える作業は複雑なパズルのよう。このように、小規模な醸造所ではほとんどが手作業。仕込み中はタンクにほぼ付きっきりです。

午前10時半、深社長が出勤してきました。大阪市内でほかにもベルギービールの専門店を営む深さん。豊富な知識と経験から、一部では関西ビール業界の「レジェンド」と呼ばれているのだとか。

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ホップなどの原材料の種類や使うタイミング、温度や量の違いなどで味や飲み口に個性が生まれる「ビール」。今は手際よく作業を進めるあかねさんですが、この仕事を始めるまで、ビールづくりに関する知識はほぼゼロでした。

しかし、深さんから「手伝って」と言われたのをきっかけに、工場オープンの前年から別の醸造家に学び、ビールづくりを必死に覚えたそう。そんなある日、自分のつくったビールが突然「愛おしく思えた」といいます。

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ビールは手をかければかけただけ変わる「生き物」。つくる楽しさはやりがいにつながります。生きるための「手段」だった仕事が、生きていく「力」にもなることがわかった瞬間でした。そしてなにより大きいのは子どもたちの存在。「私が働かなかったら生きていけない」。それがあかねさんの原動力になっています。

「船場ビール工場」は、深さんが社長、あかねさんが工場長、そしてあかねさんの姉・ちなつさんが事務職員として働く家族経営。あかねさんも工場の仕事だけでなく、事務やSNSを使った広報活動なども担当しながら工場を支えています。

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午後からのさまざまな作業をこなして午後4時半、あかねさんは税務署へ。新作ビールの申請書類を提出すればお仕事は終了。しかし、家に帰れば「母親業」が待っています。

午後6時、工場には出来たてビールを求めてお客さんが次々と。あかねさんが子どもたちと過ごしているときも、手がけたビールは飲んだ人を笑顔にし、人と人とをつないでいるのです。

クラフトビールの醸造家のお仕事密着は12月18日(水)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)「#推しごと拝見」コーナーで紹介しました。

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