中尾明慶 「あり得ないくらいモテるし…めちゃくちゃするじゃん!」 島耕作を演じるのに悩んだ日々
サラリーマンたちの“バイブル”であり“禁断の指南書”とも称される『島耕作』シリーズ。2023年には連載40周年を迎えた原作のシリーズ累計は4700万部! そんな島耕作の生きざまを新たな視点で切り取っていく縦形ショートドラマ『課長 島耕作のつぶやき』が、各種SNSで話題となっている。波乱万丈なサラリーマン人生を生き続ける主人公・島耕作を演じるのは中尾明慶さん。インタビュー前編では、中尾さんと島耕作の出会い、自身初となる縦形ショートドラマで島耕作を演じる上での苦労などを伺った。
――そもそも、中尾さんが島耕作と初めて出会ったのは?
う~ん。いつどこで島耕作を知ったのかって、実は覚えていないんです。だけど、『島耕作』のコミックスってだいたい置いてありませんでした? 定食屋さんとかに…
まだ子どもの頃に、何度かは手にして話数を気にせずに読んでいたと思うのですが、そのときは、サラリーマンの世界って刺激的だなあっていうなんとなくの印象です。島耕作の名前を知らない人はいないだろうと感じるぐらい、どんな物語か知らなくても、どこかで手にしたコミックスだ”って思う方が多いんじゃないでしょうか。
――島耕作を演じることになり、改めて作品に触れてみていかがでしたか?
原作を改めて読ませていただいたんですけど、島耕作ってあまりにも格好いいし、あり得ないくらいモテるし…でも、めちゃくちゃするじゃん!って思います(笑)。マンガではそれがすごく面白いし、島耕作だからっていう説得力もあるんですが、生身の人間が演じるとなって、どうしたらいいんだろうって悩みました。
――今回は縦型ショートドラマ。1話およそ3分という短さです。
そうなんですよ。あの島耕作のストーリーが3分の世界にギューっと凝縮されているので、どうやってこの短い尺で島耕作を演じようか…と。楽しみが大きな半面、ドラマとして成立させる悩みどころは、僕だけではなくてスタッフさんにもあったと思います。
――演じる上での難しさは?
今作では島耕作が、3分ショート動画の最後に一言つぶやくんですが、めちゃくちゃ長いセリフで、もはや“つぶやきレベル”じゃないときもあるんです(笑)。これまでのお芝居で、ただただひとりでつぶやき続けるシチュエーションってないんですよ。例えば、サスペンスドラマの終盤で事件解決へと導く独白シーンとかだとイメージできるんですが、なんせ今作は“つぶやき”がタイトルにもなっていますから。誰に向かって言ってんだろ?って思うときがあったり。
ただ、独り言をやり切るのは難しくもあり楽しくもありました。縦型ショートドラマへのオファーも初でしたので、わからない部分も多かったですね。例えば、撮影では引き画がすごく少ないんです。第1話で、部下の田代さん(木﨑ゆりあ)と資料室にいるとき、島耕作がキャビネットへ資料を取りに行くシーンでは、画面から完全にいなくなってまた戻ってくる場面があるんですが、資料を手に取る手元カットとかないんですね。見えないところは見えないまま進んでいく“縦の世界の不思議さ”を感じました。
その反面、寄りのカットが圧倒的に多くて両端が見えない不思議さは、ドラマとも映画とも違う表現だなって思いました。
――印象的なシーンは?
上司の中沢部長役・渡辺いっけいさんとのお芝居は、すごく楽しかったです。実はいっけいさんとちゃんとした共演をするのは今回で2度目。前回は20年以上も前の作品(『ズッコケ三人組』2001年)で、人生で初めて“お芝居の世界”を感じさせてくださった役者さんと言っても過言ではないんです。これまで何度かお会いすることはあったのですが、今作で初めて子役時代に共演してお世話になっていたことをお伝えできて、島耕作を通じて、大切な巡り合わせを感じることができました。
(後編へ続く)
Profile
中尾明慶(なかお・あきよし)
1988年6月30日、東京都出身。2001年に『3年B組金八先生(第6シリーズ)』で脚光を浴びると、以降ドラマ、映画、舞台など多彩な活躍をみせる。自身が手掛ける公式YouTubeチャンネル『中尾明慶のきつねさーん』も好評配信中
時は経済成長期。激動の時代の中、誰にも流されず自分の信念を貫き通したサラリーマンがいた。島耕作。彼の人生は哀愁と波乱で満ちている。これはサラリーマン、いやスーパーサラリーマン島耕作の偉大なる物語の序章である。
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