京都・鞍馬山の“日本一短いケーブルカー”乗らずに「歩いた方がいい」とスタッフがオススメする理由を調べてみると…

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京都のお寺にある「日本一短いケーブルカー」。世界各地からの観光客が楽しむ“およそ2分間の旅”の魅力を取材しました。

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京都北部にそびえる標高584mの鞍馬山。天狗伝説で知られるこの山の中腹にあるのが、1200年以上の歴史を持つ「鞍馬寺」です。例年11月中旬から下旬は紅葉が見頃になる境内を進み、山門をくぐると見えてくる建物。これこそが「鞍馬山鋼索鉄道」、通称「鞍馬山ケーブル」の駅舎「普明殿」です。

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大人200円の乗車券ならぬ“御寄進票”を買って運行スタッフに渡し、いざホームへ。牛若丸のかわいいイラストが印象的なケーブルカー「牛若號4世」は1両編成。1回に乗れるのは30人で、20分間隔で運行しています。

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27度の傾斜をゆっくりと上っていくケーブルカー。しばらくは木々に囲まれた線路を進んでいきますが、出発してから1分過ぎ、一気に視界が開け、雄大な山の眺めが広がります。「すごい絶景だ!」と大興奮する取材班ですが、そう言っていられるのもつかの間、わずか2分ほどで山の上の駅に到着してしまいました。

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「1分52秒ですわ。正確に言うとね」と話すのは、ケーブルカーの運行に携わって14年になる鞍馬寺の職員・高祖靖弘さん。1957年開業の鞍馬山ケーブルは、足腰に自信がない人も参拝できるように鞍馬寺が運行を始めた、日本で唯一の“宗教法人が運営している鉄道路線”です。

【動画】乗るときに払う200円は「寄付」。納めたお礼としてケーブルカーに乗れるのです。

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そして、何と言っても一番の魅力は「日本で一番短い」こと。麓の「山門駅」から山の上の「多宝塔駅」までの運行距離は207mと日本の鉄道路線の中で最短です。

知らずに乗った人はその短さに驚きますが、このケーブルカーをお目当てに訪れるファンも。多い日には1日3000人が利用する、鞍馬山観光には欠かせない名物となっています。

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しかし、運行スタッフの高祖さんからは意外な言葉が。山の上までのルートは、ケーブルカーに乗るより「できれば歩いた方がいいと思う」というのです。その意味を探るべく、取材班はあえてケーブルカーを使わず、山の上の本殿を目指すことに。

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山門から本殿までは歩いておよそ30分。その道中は、滝や神社など見どころが盛りだくさん。大きな杉の木をまつった「大杉社」や、天狗の顔を模したユニークな「天狗みくじ」、清少納言が枕草子に記した坂道「九十九折参道」も。高祖さんが徒歩ルートを勧めるわけは、鞍馬山のこうした自然や歴史に触れてほしいからだったのです。

そして、帰りは再びケーブルカーで。下り車両に乗るために駅に向かうと、発車時刻を待つ多くの人が。「行きは歩き、帰りはケーブルカーで」という人や「歩き疲れた」という人など、下りを利用する参拝客は少なくないそうです。

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そんななか、出会ったのは大の電車好きという4歳の男の子。東京からママの実家がある京都に里帰り中、ケーブルカーに乗るためだけにパパとわざわざやって来たそうです。

出発前からワクワクが止まらない様子の男の子。上り車両では座れなかったという一番前の席につき、夢中になって窓の外を眺めます。鞍馬の旅を締めくくる穏やかな2分間はあっという間に過ぎていきました。

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乗るもよし、乗らぬもよし。旅の選択肢を増やしてくれる「日本一短いケーブルカー」は、これからの紅葉シーズン、1年で一番忙しい季節を迎えます。

鞍馬山ケーブルの魅力は、11月19日(火)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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