「大麻はたばこよりクリーン」「安全性がある」若者に広がる誤情報で『大麻汚染』が過去最多に… 麻薬取締官“マトリ”の捜査に密着

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さまざまな違法薬物があるなかで、今、若者を中心に最もまん延しているのが“大麻”です。去年、摘発された大麻事件の検挙者数は過去最多に。なぜ大麻に手を染めるのか?その背景に迫りました。

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大阪市内の合同庁舎に入る近畿厚生局麻薬取締部、通称「マトリ」は、関西の薬物事件を取り締まる、逮捕権を持った捜査集団。部屋に入ると、とある事件で押収した300株を超える大麻草がびっしりと並んでいました。

逮捕された男らは、大阪府内の複数の集合住宅などで大麻草を営利目的で栽培。このように、普通の家で栽培していた事案は多いといいます。

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無許可での栽培や所持が禁止されている日本で今、大麻に関する犯罪が急増しています。去年、全国の警察やマトリが摘発した大麻事件の検挙者数は6703人。統計のある1951年以降で最多となり、初めて覚醒剤の検挙者数を上回りました。

そのなかでも7割を占めているのが10〜20代の若年層。若い世代を中心とした大麻のまん延について、麻薬取締部の谷口和久部長は「インターネット」の影響を指摘。ネット上に多く見られる「大麻は悪くない」という間違った情報を目にし、気軽に手を出す若者が多いのではないかというのです。

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街で取材すると、「友人が大麻を乱用している」と話す若者はすぐに見つかりました。自身は使ったことはないものの「大麻はたばこよりクリーン」「安全性がある」という誤った認識をもっていた彼は10代の大学生でした。

【動画】「高校生が大麻に手を染めているのを見た」という驚きの証言も。

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警察庁の調査によれば、20歳未満の4割以上がインターネットの情報から「大麻は危険ではない」との認識を持っているそう。しかし、実際には視覚や聴覚のゆがみ、記憶障害や精神障害などを起こし、特に成長期にある若者の脳に大きな影響があることがわかっています。

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「覚醒剤よりもっと危険」と警鐘を鳴らすのは、脳の学習や記憶について研究する滋慶医療科学大学の木村文隆教授。大麻の花や葉には「THC(テトラヒドロカンナビノール)」という脳に作用する成分が含まれ、実験でこれを投与されたマウスの脳には「神経回路が削り取られる」という影響が。脳がまだ未熟な若者が大麻を使うことで、正常な成長が大きく阻害されてしまうのです。

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ネット上には、くわしい使用方法や栽培方法などの情報も。絵文字や隠語などを駆使し、取引を持ちかける投稿も後を絶ちません。SNSはまさに若者を中心とした「違法薬物のメインマーケット」となっていますが、ここから密売する人物を特定し、最終的には強制捜査に踏み切れるなど、マトリにとっては“メリット”もあるといいます。

そんななか、マトリが長期間の内定を行っていた、大阪府内で大麻を栽培・密売するグループの“強制捜査”に取材班が密着!張り込み開始から4時間、午後2時前にマンションの一室に入ったマトリ捜査員たちは、グループ数人の身柄を確保。室内で栽培されていた50株もの大麻草を押収しました。

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この後、複数の関係先で見つかった大麻草はあわせて約500株。栽培拠点は全国にまだまだあると見られています。さまざまなかたちで広がる大麻。その汚染の波を止めるため、マトリの捜査は今日も続いています。

急増する大麻事件の背景は9月12日(木)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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