大阪にある“日本最古の少年院”で更生を目指す少年たちに密着!再び社会に戻る日まで…

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罪を犯した少年たちが社会復帰を目指し、更生に取り組む「少年院」。大阪にある「日本最古の少年院」で、さまざまな人たちに支えられ、少しずつ歩みを進める少年たちを取材しました。

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大阪・茨木市にある「浪速少年院」は、昨年、創立100年を迎えた国内で最も古い少年院です。収容されているのは、薬物や窃盗、詐欺などの罪を犯した16〜20歳の60人ほど。約1年間、規則正しい生活を送りながら更生を目指します。

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起床は午前6時45分。午前中の職業指導の時間は、パソコン操作や農作業、木工などさまざまな実習を受けます。なかでも人気なのが、少年院にいながら電気工事士の資格が取れる「電気工事」の実習。指導を担当するのは永田元伸さん(66)です。普段は電気関係の仕事をしている永田さん。民間協力者として技術指導に取り組み、「仕事で社会に貢献すること」の大切さを教えています。

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珠算指導の大西信二さん(84)は元高校教師。かつて教え子が傷害事件を起こし、浪速少年院に入ったことをきっかけに、5000人を超える少年たちに“そろばん”を教えてきました。

月2回の指導ですが、1級や段位をとるまでに才能を開花させる少年も。そんな技術の上達だけに留まらず、親との信頼関係が壊れた少年たちに「人との絆の大切さ」を伝えたいと大西さんは話します。

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少年たちと最も時間をかけて接するのは法務教官。生活全般に正面から向き合い、手を差し伸べます。体育の指導で一緒に汗を流すことも。この日の体育はバレーボールです。少年たちはのびのびと声を上げ、アタックが決まればガッツポーズ!規律が厳しい少年院での生活ですが、気持ちを前面に出すこんな時間も「必要」と教官は語ります。

【動画】笑顔があふれる体育の時間。このときばかりは「部活の先輩のような感覚」と教官。

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少年たちが罪を犯すことがないよう、学びを深める生活指導の時間も。この日のテーマは「孤独」とのつき合い方。孤独をきっかけに悪い誘いに乗り、犯罪に手を染めた少年たちの話に、教官がじっくりと耳を傾けます。

「家にオカンしかおらんから…」、「あんまり家族と仲よくなくて…」。過去を振り返りながら教官との対話を重ねる少年たちは、孤独を感じない「居場所」づくりが、自分ひとりの力では為しえないことを学んでいきます。

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少年院のとある一室では、社会復帰を間近に控えた少年たちによる発表会が行われていました。「オトン、オカン、迷惑かけてごめんなさい」。思いをつづった作文に耳を傾けるのは、少年の保護者です。

発表が終われば親子ワーク。少年院を出た後、想定される場面がリアルに描かれた問題に親子で取り組みます。後戻りしないために、どんなことに気をつけるべきなのか?親と子、それぞれの答えを引き出しながら、教官は厳しい現実にも踏み込みます。

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教官たちが更生を全力で支える少年院。しかし外に出れば、罪を犯した少年に厳しい目を向ける人も少なくありません。周りからの助けが得られず、再び犯罪に手を染めた教え子の姿を何度も目にしてきた教官は「ひとりで(更生)は至難の業」と保護者にサポートを呼びかけます。

そして、自分の行いや心の状態を深く顧みる「内省」の時間を過ごし、午後9時には眠りにつく少年たち。社会に再び戻る日まで、自分を見つめ直す日々が続きます。

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浪速少年院の密着取材は9月13日(金)放送の『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。

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