207坪の土地に建つ一軒家「0円でもいい」 近年増加する売るに売れない“負動産” “相続放棄”の実態
年々増えている、遺産を受け継がない「相続放棄」。昨年、その数は過去最多の28万2785件となりました。増加の原因のひとつが、「負動産」とも呼ばれる売れに売れない不動産。その実態を島田大記者が取材しました。
やってきたのは奈良県奈良市。207坪の土地に建つ、築49年の一軒家を「0円」でもいいから誰かに譲りたいと話すのは、88歳の岩野さん。一昨年、長年連れ添った妻が亡くなったのを機に岩野さんが市街地のマンションに引っ越してからは空き家になっていました。
島田記者も同行し、久々に家の中をのぞいてみると、床が抜けそうに緩くなっているなどかなり傷みが進んだ状態。ですが、木造瓦ぶきの広々とした豪邸で、駅から徒歩10分とアクセス至便。こんな物件がなぜ「0円」なのでしょうか?
実はこの場所、許可なく建物を建てられない「市街化調整区域」。岩野さんは許可を得て家を建てたそうですが、その許可証を紛失。今ある家の増改築は可能ですが、取り壊して新しい家を建てることができません。放置していても固定資産税が毎年かかるうえ、このままだと親族に迷惑がかかる。それが「0円」でも手放したい理由なのです。
岩野さんのように物件を無償譲渡したい人が情報を載せるサイト「みんなの0円物件」への掲載希望も年々増加中。2019年には年間50件ほどでしたが、今年は5月のひと月だけで200件もありました。
また、相続放棄の相談が毎月100件以上も寄せられるという大阪・難波にある司法書士事務所では、近年、相談内容に変化が。親の借金を相続したくないという人のほかに、「負動産」を相続したくない人が増えているといいます。
【動画】過疎地などを中心に売るに売れない「不動産」が増加中!
そんな状況を受け、これからますます増加するといわれる相続放棄について、島田記者がスタジオでわかりやすく解説!親族の借金や空き家になって売るに売れない実家などの「負の遺産」から解放される相続放棄とは、どのような手続きで行われるのか?申し立ての期限や費用は?などの気になる情報を紹介します。
さらに、手続きを済ませても不動産の管理義務が残ってしまうケースも紹介。相続放棄の意外な“落とし穴”とは?
増加する相続放棄をめぐる問題は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!