“龍大のママ”が営む学生街の人情食堂 幼少期の記憶と、学生たちの笑顔を力に…

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京都市伏見区、龍谷大学・深草キャンパスのそばにある食堂『てっぱん』。安くてボリューム満点のメニューと“龍大のママ”と呼ばれる名物店主が学生たちに愛されている“学生街の人情食堂”に密着しました。

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およそ800gのご飯を炒めたデカ盛りのオムライスが、学生料金でなんと500円!ニンニクをきかせた豚肉のスタミナ丼も学生500円!『てっぱん』のメニューには「学生さんが困ってるんやったら助けようという気持ちは100%あります」と話す店主・松吉晃美さん(67)の思いがあふれています。

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晃美さんが『てっぱん』をオープンしたのは2021年。もともとは深夜のラーメン店で働いていましたが、コロナ禍でクビに。夫の昭男さん(84)の勧めで、自宅の1階を改装して店を開くことにしました。

若いころは調理師専門学校に通っていた晃美さんですが、自分の店を持つのは初めてのこと。「2つで勝負せぇ」という昭男さんのアドバイスを参考に“カレー”と“オムライス”の食べ放題2本立てでお店を始めたといいます。

晃美さんが腕を振るう素朴な家庭の味はたちまち人気に。午前11時半にお店が開くと、続々とやってくる学生たちで店内はあっという間に満席になります。

この日、初めてお店に来たという龍大2年の男子学生は、唐揚げ定食を注文。唐揚げが15個も入って、なんと学生600円!かなりのボリュームですが「こんなにおいしいとは!」とペロリと平らげてしまいました。

【動画】『てっぱん』を訪れるお客さんはさまざま。大盛りのハヤシライスを完食する女子学生や外国人観光客、他府県からわざわざ来店する人も!

人気のカレーライスは、何をトッピングしてもOK。しかもお替わり自由で学生600円!記者も「(商売として)やっていけますか?」と思わず心配してしまう利益度外視の安さですが、晃美さんは「やっていこうと思ったら、やっていけるんちゃいますか?」と豪快に笑い飛ばします。

そんな彼女の根底にあるのは、子ども時代の記憶です。晃美さんは実母が生後まもないころに姿を消し、育ての親のもとで大きくなりました。暮らしは決して楽でなかったようで、「ホンマに食べられなかったときってめっちゃ悲しかった」「お腹いっぱい食べたら“なんという幸せ”って思った」と晃美さん。そんな思いがあるからこそ、食べて喜ぶ学生たちの顔が“力”となるのです。

『てっぱん』には学生以外のファンも。夜、食器の片づけなどを手伝っているのは社会人の常連客。ひとりで店を切り盛りする晃美さんを助けようと、昼の仕事を終えるとたびたび店に来てはお手伝いをしてくれているのです。「「おかえり」って言ってくれはるんで、それがほんまに嬉しくて。家族みたいな、そういう感じですね」と男性は微笑みます。

午後10時、この日の営業が終了。ところが、4年前から体調を崩している昭男さんに異変が。晃美さんに付き添われ、救急車で病院に向かった昭男さんは肺炎と診断され、そのまま1週間入院することになりました。

翌朝、病院に着替えを届けた後、その足で“仕入れ”に向かう晃美さん。今日も変わらず『てっぱん』を開店するため、お店に戻ると…。

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龍大生たちに愛される学生街の人情食堂は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!

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