芸人さんの舞台裏密着12時間!! 『第45回ABCお笑いグランプリ』準決勝 東京組が大阪への夜行バスで大珍事!? 8人組のダウ90000はどうやって大阪へ?
『第45回ABCお笑いグランプリ』準決勝が6月21日に大阪のABC朝日放送に隣接するABCホールで開催された。総エントリー数568組中、準決勝に進出できたのは45組。そこから7月7日(日)に生放送される決勝へ進めるのは、たったの12組だ。
準決勝は東京芸人33組が進出する中、今年は大阪での開催ということで、東京からの出場者には前日20日夜に夜行バスが用意され、21日朝8時30分にABC朝日放送に到着する。そして、朝9時からコント組はリハーサル、昼2時から準決勝が始まり、夕方6時に全組終了。ようやく夜8時に決勝進出組が発表される。では一体、このお笑いグランプリの裏側はどうなっているのか。長い長い1日に密着し、出番前後や待ち時間、大阪でどのように過ごしたのか、関西のライター鈴木淳史が直接芸人さんに聴いてみた。
準決勝前日である20日(木)深夜0時。東京・浜松町にあるABCテレビ東京オフィスの前には多くの芸人さんが集まり、車内はほぼ満席だ。東京スタッフに見送られ夜行バスは出発した。
朝8時。東京組、大阪・福島にあるABC本社に到着。
朝9時。密着取材開始。まずはABCにある地下1階と地上1階に分かれている控室2部屋を覗いてみる。リハを控えたコント組を中心に、控室にいたりコメントを撮影したり、喫煙所にいたりと、それぞれバラバラの過ごし方。
朝10時30分、ABCホールでのコント組リハが落ち着いたところで、ひとり地下控室前の壁を前にネタ合わせをするかが屋の加賀翔さんを発見。2022年決勝進出経験のある彼に、早速本日1人目のインタビュー。
―まずは夜行バスで移動お疲れ様でした。
加賀『あっ、みんながみんな夜行バスでは無いんです。僕は「ABCお笑いGP」の経験値があるので知っているんですが、夜行バスで来ると体力不足になるんですよ。なので、僕は新幹線で来て、体力を温存しています。元々、大阪のNSCなので、当時も(地元の岡山から)夜行バスで大阪に来ましたし、諦めてNSCを辞めた時も夜行バスで帰ったので、良い想い出が全く無くて…。夜行バスは絶望の記憶しか無いんです』
―新幹線での東京大阪間移動は全く違いますよね?
加賀『段違いです! あと、今日は天気が雨なのもあって、新幹線が外気を取り込んで換気し、さらに冷房で激寒になることも計算してですね、連日30℃続く中、敢えて黒の厚手パーカーを着てきたんです。ABC控室が地下なのもわかっていたので、温度調節を考えて、「ABCお笑いGP」対策を外堀から埋めてみました。ヤバくないですか!?』
想像していた話題とは全く違った内容になったが、勝ち誇ったように黒の厚手パーカーを脱いでからインタビューに臨んでくれた意味がよくわかった。でも、やはり夜行バスで来た壮絶話も聴きたい。地上の控室を覗いてみると、床にうつ伏せで倒れ込み寝ている人を発見! 近くにいた人に聞くと伝書鳩のがくとさんだということが判明。起きるのを待ち構え、インタビューへ。
―床に倒れ込んで寝ているのを観ていたのですが、やはり夜行バス移動は壮絶ですよね?
がくと『壮絶です。でも、みんな、人を笑かしたくて来ているんで、前向きな壮絶ですよ。腰も痛いんですけど、苦では無いです。事前にネットで調べたら、あの寝方が一番楽だと書いてあったので、ちゃんとコンディションは整っていますよ。今日のネタで倒れ込むシーンがあるので、その一発にかけてます。まぁ、立ち上がれるかわかりませんがね』
飄々とした感じで語ってくれるも、腰をさすっているので、絶対に痛いはずだし、どう考えても腰に悪そうな寝相だったが、本人はあの寝方が一番だと自信満々で語ってくれたので、きっといいのだろう!
再度、地下控室に向かうと、2022年・2023年と2年連続決勝進出のダウ90000と遭遇する。8人組をまとめる存在であり、主宰・脚本・演出も担当する蓮見翔さんにインタビュー。
―ダウ90000は8人全員で夜行バス移動ですか?
蓮見『いや、昨日の内に全員で車で来てて、7時間はかかりましたけど、前乗りした事で寝られたので、だいぶ夜行バスとは違うと思いますね』
―車はスタッフさんが運転されたのですか?
『メンバーだけで来て、僕ひとりで運転しました。後の7人は、1人しか免許を持っていませんし、運転下手なので、僕が運転しました』
―車内は疲労で無言になってしまう感じですか?
蓮見『眠くなると困るので、わりとみんなで喋りますけど、別にネタ合わせとかでは無くて、最近の普通の話ですね。旅行気分にもなり、楽しかったですよ。7時間の移動でしたが、気を抜かず、本番に向けて気合いは入れていました』
―3年連続決勝進出に向けて、かなり気合い入っていますよね。
蓮見『そうですね。3年連続で決勝に行くと、流石に8人組でも正統派と言ってもらえるかなという想いもあるので、気合いは入っています。本当は今年出ないつもりだったんですよ。ところが令和ロマンが出るとなって、「M-1」チャンピオンが出るのに、何の結果も出していない自分たちが見切りをつけるのはダサいなって。自分たちが出ない意味はわかんないので』
8人組という話もあったが、この「ABCお笑いGP」の良いところは、漫才・コント・ピン芸・歌ネタ・落語などなど、ジャンルも人数も何の縛りも無いところ。改めて幅が広い素晴らしい大会だなと感じていたら、ピン芸のこたけ正義感さんを発見。ダウ90000と同じく2022年・2023年決勝進出者であり、2022年に関しては準優勝という実力者。
―移動は夜行バスですか?
こたけ『新幹線で前乗りしました。同期のGパンパンダから夜行バスはキツいと聴いていましたし、それで喉を傷めたり体調を崩すと嫌なんで。実際、夜行バス組のみんな、疲弊しきっていましたからね』
―今年は3年連続決勝進出がかかっていますが、いかがですか?
こたけ『今年の大会キャッチフレーズを見て、ヤバ…となりましたね…。「見たことないもん見よか。」は良いキャッチフレーズですけど、僕にとってはね…。でも、毎年違うパターンのネタを出すつもりでいます。それと令和ロマンと同じタイミングで、一昨年から決勝進出していますけど、去年「M-1」チャンピオンになった令和ロマンが今年も出るという事で、「M-1」チャンピオンと直接対決して倒せるチャンスのある大会なんて二度と無いなって。今年も出るかは考えたんですけど、令和が出るとなって、襟を正すというか…、背筋が伸びるというか…。正面から逃げずに行こうとなりましたね』
ダウ90000・蓮見さん、こたけ正義感さんと、まさか2人続けて、令和ロマンへの熱い想いを聴けるとは…。それくらい昨年末「M-1」チャンピオンになったばかりの令和ロマンが「お笑いグランプリ」に出場するという事は芸人さんにとってもビッグニュースだったのだ。
(次回、空き時間に食パンを15枚完食した芸人!?密着記PART2に続く)
「第45回ABCお笑いグランプリ2024」決勝戦は7月7日(日)午後1時55分よりABCテレビで生放送。ABEMAでも全国ライブ配信される。
(取材・文/鈴木淳史)
(企画・撮影/喜多ゆかり)