教えたいのは「みんなが笑顔になる笑い」落語を通して子どもたちに学びを伝える“落語教育家”の女性に密着!
大阪に、小中学校などに出向いて“落語”で授業を行うプロの教育者がいます。笑いを通し、子どもたちの学びに携わる“落語教育家”に密着しました。
大阪・摂津市に住む楽亭じゅげむさん(28)、本名・小幡七海さん。“笑い×教育”を掲げる一般社団法人「ラクター」の代表を務める彼女は“落語教育家”として活動中。小中学校への出前授業や、お笑いワークショップの講師などをこなしています。
この日は大阪府内の私立小学校へ。約80人の5年生に「“人を喜ばせる笑い”について考える」授業を行います。まずは生徒の前で落語を披露。そのおもしろさに触れてもらった後は、子どもたち自身で笑いのネタを考えてもらいます。
お題は“どら焼きの中に、あんこではない何が入っていたらおもしろい?”「せんべい」と言う子もいれば、「中身、空やん!」と驚いてみせる子も。自由な発想から生まれた思い思いのネタにドッと笑いが起こり、授業は大盛り上がりです。
自分の笑いをのびのびと表現する子どもたちの姿を見るのが「めっちゃ好き」と笑顔を見せるじゅげむさん。京都で生まれた彼女は、大学の新入生歓迎会で見た落語に魅せられ、落語研究会に入部。全日本学生落語選手権で優勝を果たすほど腕を上げましたが、卒業後は笑いの道には進まず、小学校の先生になりました。
しかし、教師の仕事は想像以上に大変でした。学校の業務や保護者対応など膨大な量の仕事に追われ、子どもたちと向き合う時間もないと悩んでいたとき、学校に新しく「落語クラブ」を作ることに。これが大きな転機となりました。
自分の表現に返ってくる笑い。それが、誰かに認められる喜びに繋がるーー。みるみる落語にはまっていく子どもたちに手応えを感じたじゅげむさんは、落語クラブの活動を教材にして広めようと決意。教師を辞め、落語教育家になったのです。
【動画】がんばった子をみんなで「ええやん!」と褒める授業はじゅげむさん流。
じゅげむさんが一番大切にしているのは「人を傷つけない笑い」を知ってもらうこと。人を傷つける笑いは簡単だけど、それでは“いじめ”になる。だから、みんなを笑顔にする笑いを考えることはとても大事――。じゅげむさんの思いは、この日の授業を受けた5年生の子どもたちにも伝わります。
そんなじゅげむさんの“教え子”が村上有香さん(25)。神戸市に住むダウン症の女性です。お笑い講座に参加したことがきっかけで落語の虜になり、今はじゅげむさんのオンラインレッスンで腕を磨いています。
母の喜美子さんが台本を書き、有香さんが演じる落語の題材は、有香さんの日常。母と娘のユーモラスなやりとりに思わずクスッと笑ってしまう10分のネタがこれまでに3本も完成しました。
「みんなが幸せになれる落語をもっと広めたい」と目を輝かせる有香さんに刺激を受け、「学びをいっぱいもらっています」と話すじゅげむさん。落語教育家になって2年、彼女が抱く大きな夢とは?
落語教育家のユニークな活動は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!