果たして開催に間に合うのか?建設が遅れる「大阪・関西万博」海外パビリオンの裏事情を参加国アルメニアで独自取材!
開幕まであと1年を切った「大阪・関西万博」。参加を表明している国のひとつ「アルメニア」のパビリオン建設に挑む日本人がいます。大阪に建築事務所を構える建築家・遠藤秀平さん(64)。キャリアは35年ですが、万博のパビリオンを手がけるのはこれが初めてです。
東ヨーロッパに位置するアルメニアは、人口およそ280万人、土地面積は北海道の3分の1ほどの比較的小さな国。今回、独自で設計・建設する「タイプA」のパビリオンに初めて出展します。
去年11月、来阪したアルメニアの万博担当者は、タイプAを選んだことについて「我々がいかにこの万博にかけているか」を示していると語り、日本と「理解を深める良い機会」と意義を強調。出展には、国の威信がかかっています。
【動画】遠藤さんが考えるパビリオンのイメージは、アルメニアを象徴する「アララト山」。「ノアの方舟」がたどり着いた場所とされる聖山です。
「アルメニアってどんな国なんだろうと思ってくれるきっかけに」と意気込む遠藤さんが建築に興味を持ったきっかけもまた1970年の「大阪万博」。当時、小学4年生だった遠藤さんは「スイス館」のユニークな造形に惹かれ、建築のおもしろさを知りました。
それだけに、「次の万博」に携わるチャンスに並々ならぬ思いで挑む遠藤さん。「55年前に経験したパビリオンたちに、引けを取らないパビリオンを残したい」と気合い十分です。
ところが今年4月、思ってもみない展開が。物価高や人件費の高騰、作業員の労働時間が制限される「2024年問題」などが立ちはだかり、これまで一緒に取り組んできた建設会社が契約直前に辞退することに。建築計画はまたイチから仕切り直しです。
アルメニアのように、建設会社が未だに決まっていない国は、タイプAのパビリオンを建設予定の53 カ国のうち14カ国(5月9日現在)。建設が大きく遅れている複数の国で、完成が開幕に間に合わない、もしくは撤退の可能性が高まっています。
果たして、アルメニアは開幕に間に合うのでしょうか?現地の事情を確かめるため、取材班は遠藤さんとともにアルメニアに向かいました。
赤いレンガの町並みと豊かな自然が広がるアルメニアは、およそ1700年前にキリスト教を世界で初めて国の宗教に定めた歴史のある国。国民に話を聞いてみると、「(国の)文化をプレゼンするのはすごくうれしい」など万博でのPRに前向きのようです。
しかし、無視できないのが「契約」の問題。アルメニアは、万博協会との参加契約や運営会社との本契約がまだ結べていないのです(5月15日現在)。開幕に間に合わせるためには、これ以上スケジュールを遅らせるわけにはいきません。
ところが、アルメニアから突然「契約はまだできない」との連絡が。アルメニアの経済省に急遽向かった遠藤さん。そこで行われた話し合いの結果は…。
「大阪・関西万博」の舞台裏は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!