「あなた方が一番幸せでないといけない」。山田洋次監督が映画『TOKYOタクシー』に込めた想いとは?『ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です』
毎週月曜日から木曜日の朝9時から12時までニュースや日々の話題を生放送でお届けするラジオ番組『ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です』。11月18日(火)のパートナーはタレントの山田雅人。
今回はパーソナリティーの2人が『男はつらいよ』などで知られる山田洋次監督に新作映画『TOKYOタクシー』についてお話を伺ったスペシャルインタビュー回。

待望の新作である『TOKYOタクシー』。家の更新料や娘の学費などで悩むタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)に85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を高齢者施設まで送る依頼が舞い込む。最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがある」と浩二に寄り道を依頼する。そして、東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの過去を語り始めるー。明日を明るく照らす奇跡と希望の物語だ。
三代澤はこの映画を観て、「すみれさん(倍賞千恵子)がタクシーのなかで一人語りのように、自分の過去を語り始める。そのたった一人の歴史の中には日本の戦後の歴史の流れも感じさせる。この映画は戦後80年、ずっとフィルムに収めてきた山田洋次監督でないと撮れない」と絶賛した。山田洋次監督は「たった一日の話だけども、その中に歴史があると言われればそうかもしれない」と頷く。
「その時代の男性と女性の関係であるとか、そのあたりも監督が出したいと思った部分ですか?」と山田雅人が問うと、「ある程度、原作(『パリタクシー』)にもヒントがあるんですけどね。戦前、日本は女性差別の時代でそこから男女同権であると憲法が決まって、それからだんだん女性が男性と同じ地位を持つべく、いまだにいろいろあるんだけども、変わってきているという歴史があの映画の中にあるかもしれませんね」と語る。
すみれの過去を演じる蒼井優、その夫役の迫田孝也の夫婦のシーンについては、「人間の持ちうる自分自身の嫌なもの、見たくないもの、罪深いものをちゃんと見つめなきゃいけないという気持ちで、俳優さんにも言いましたね。別の人間を演じるのではなくてあなた自身のなかでそれを探りだしてくれと」と演技指導の秘話を明かした。
最後に山田洋次監督は「かつて一億総中流と呼ばれていた、このタクシー運転手のような中流階級の人たち、一番中間的な生活をしている人たちにエールを送りたいというふうに思いますね。この映画に出てくるタクシー運転手の家族たちにがんばれと。あなた方が一番幸せでなきゃいけないんだよという思いでね。そういう思いが最後にふっと、浮かぶようなラストになっていると思います」とコメント。
タクシーのなかでこれまでの人生を語るすみれと、その話を聴いたタクシー運転手の宇佐美。たった一日のささやかな交流を描いた『TOKYOタクシー』。格差が進む現代社会のなかでそれでも日々を懸命に営んでいる人たちへのエールとなるような映画に仕上がっている。
終始おだやかに、ときに笑いもおきながら映画について語る監督のインタビュー全編はぜひradikoで。








