東京ドーム3個分の広大な北の大地で、夫婦二人三脚でブランド和牛を育てる「ポツンと一軒家」のリアルな生活
衛星写真でみつけた謎の一軒家の実態を徹底調査する番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)。9月21日(日)の放送回では、広大な土地が拡がる北海道へ飛んだ。帯広空港から車で約1時間半の場所に位置する、大小さまざまな建物と広い芝生エリアがあるポツンと一軒家には、夫婦が二人三脚でブランド和牛を育てる牧場があった。
「テレビと一緒だね」と朗らかな笑顔で捜索隊を迎えてくれたのは、58歳の男性。66歳の妻と二人きりで、70頭の黒毛和牛「びらとり和牛」の繁殖農家を営んでいる。「びらとり和牛」は、厳しい冬の寒さにさらされることで肉の旨みが凝縮されるのが特徴だという。
男性は地元の酪農短大を卒業後、家業に従事。以前は乳牛を飼う酪農家だったが、設備投資や労力の問題から、20年ほど前に父の提案で和牛の繁殖に切り替えた。現在は、親牛に人工授精で産ませた子牛をセリに出している。
現在いる約70頭のうちの40頭が、子牛。大小3つの牛舎は牛の成長段階に応じて使い分けられ、分娩用の「2号牛舎」では、監視カメラで24時間体制で出産を見守り、難産の場合は介助も行うという。
この日は、農協職員が生まれたばかりの子牛の個体登録にやって来た。人間の指紋のように一頭一頭異なるという鼻紋(びもん)を採取する様子も撮影できた。
母子牛は生後2週間経つと育成用の「2号牛舎」に移動。そして生後55日で離乳のために離されるが、母子は3日ほど互いを探して鳴き続けるという。乳離れした母牛は、産後60日でまた種付けを行い、次の出産に備えるのだそう。
子牛は3~4ヵ月でドーム型の大きな「3号牛舎」に移動し、10ヵ月で出荷され、1頭45万円ほどで取引される。
男性の牧場は牧草地含めて約15ヘクタール。東京ドーム約3個分の広さだ。妊娠中の牛たちは昼間、向かい側の放牧地へでかけ草を食み、夕方に男性が声をかけるとトコトコと道路を渡って帰ってくる。
11年前に母が亡くなり、父が住むポツンと一軒家で同居を始めた夫婦は、築33年の家の外壁を3年前にリフォーム。冬はマイナス25度にもなるこの地の屋根には熱で雪が溶けて水として流れる無落雪屋根の傾斜があり、ストーブの煙突の熱で部屋を温めるペチカもある。築古を感じさせないモダンな家だ。
牛の世話は夫婦二人三脚で行っている。妻は老人ホームで事務員として働いていたが、3年前に義父が亡くなったのを機に夫の仕事を手伝うようになった。動物相手の仕事に、休みはない。10日に1回、約60km離れた大型スーパースーパーでの買い物も、男性は牛の世話があるため妻がひとりで行く。もちろん、夫婦でのんびり旅行に行くこともできない。男性は昨年、前立腺がんの手術を行ったが、10日ほど休んだ際には5〜10km離れた“近所”の同業仲間が助けに来てくれたという。
体調は万全ではないものの、「今やめるわけにいかんし」「もうちょっと頑張れるから頑張るよ」と言う男性。病と闘いながら「のんびりできる日」を夢に見つつ、夫婦は今日も北の大地で、力を合わせて和牛の命を育み続ける。彼らの暮らしは、慌ただしくも、穏やか。まさに北海道の壮大な自然の中で繰り広げられる、リアルな生活だった。
ゲストに葉加瀬太郎と中村静香を迎えた北海道のポツンと一軒家は、9月21日に放送されたバラエティ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)で紹介された。
