「大阪人としてすごく嬉しい」食材も器も大阪産(もん)! なにわ黒牛と泉州水なすの陶板焼きを巡る、心までおいしいストーリーを入江陵介が味わう
ワンディッシュ(一皿)のおいしさのヒミツを、4週で追いかけるこの番組。
今回は大阪育ちの元競泳日本代表・入江陵介さんが、今まで知らなかった大阪産食材の魅力と出会う。土地の恵みと作り手の想いが響き合うストーリーが明らかに!
ワンディッシュに込められた、おいしいの向こう側とは…?
#1 大阪産料理 空(そら)堀江本店 シェフ・大野亮太さん オーナー・今井豊さん
大阪出身で元競泳日本代表の入江陵介さん。幼いころは四天王寺近辺で遊ぶことも多かったそう。※四天王寺は天王寺区なので… 大阪市西区の「大阪産(もん)料理 空(そら) 堀江店」を訪れた入江さんに、シェフの大野さんが差し出したのは「なにわ黒牛と泉州水なすの合い盛り陶板焼き」。大野さんに「塩コショウしてあるのでこのままで味わってください」と勧められ、お肉を一口頬張った入江さんは「赤身の味がしっかりしていて。脂身も結構多いかなと思ってたんですけど全然あっさりですね」とそのおいしさを堪能。続いて、泉州水なすを口にして「んー!瑞々しい。肉の脂との相性もめちゃくちゃ合いますね。より濃い味わいになりました」とコメント。なにわ黒牛のことは初めて知り、「大阪で牛を育てているイメージがなかった」と驚いた様子だ。
このお店は大阪産(おおさかもん)を盛り上げたいという想いで、100軒以上の生産者から仕入れを行っている。オーナーの今井さんは「京料理という言葉があるのに、食の都・大阪に『大阪料理』という名前がない」と指摘。「生産者さんの想いってあるんですよ。彼らはそれを直接食べる方には伝えられないから、想いを代弁している感じ。料理を味わう人に彼らの想いを伝えていくのが我々の役目かなと」と熱い想いを語った。
「僕も大阪人として今日これを知れたのがすごく嬉しかったです」と入江さん。
おいしいの向こう側には、大阪産の魅力を広めたいという思いがあった。
<紹介したお店>
大阪産料理 空(そら)堀江本店
#2 なにわ黒牛牧場 代表・松田武昭さん
大阪のブランド牛「なにわ黒牛」は、大阪・阪南市のなにわ黒牛牧場だけで育てられ、月にわずか5頭しか出荷されないため幻の黒毛和牛と呼ばれている。初耳の入江さんは「へえ~!」とビックリ。
牧場の代表を務める松田さんは「品種は雌にこだわっている。雌は筋肉の繊維が細かいから、口に入れた時にトロッととろけるような肉。それを目指してやっただけなんです」と話す。松田さんのこだわりは、独自でブレンドした餌。「肉の質を作っていくにはカロリーを抑えたほうがいい」と、とうもろこし、大麦、大豆の皮などを中心に低カロリー高たんぱくな餌を牛に与えている。これにはアスリートの入江さんも「人間の体作りと近いものがありますね」と感心した表情。
なにわ黒牛は大阪・関西万博でも提供され、世界にも知れわたる存在に。「海外の人にどんどん日本に来てもらって、なにわ黒牛を食べていただきたい」と想いを語る松田さんは、60歳の時、40年勤めた肉の卸売業から転職。前職で得た知識を生かして牛を飼い始めた。「自分の今までの実力を試してみたかった。悔いのない人生を過ごしたい」と決断したそう。その姿に入江さんは「凄いですね。60歳超えてから新しいことにチャレンジする姿はなかなか想像できない。年齢関係なく常にチャレンジしていきたいなと思いました」と感銘を受けた様子。
おいしいの向こう側には、挑戦を続ける活力があった。
#3 三浦農園 農家・深見麻衣さん
続いては、泉州水なすを作る農家さんのお話。泉佐野市で100年以上続く三浦農園。農園の深見さんは、水なすの特徴を「皮が薄くてアクが少ないので生で食べられる」ところだと話す。泉佐野市の土は、保水率の高い粘土質。そして24時間、機械で水なすの水分量を調整するため、よりおいしい水なすが出来上がる。さらに、早朝から収穫するのもポイント。気温が上がると傷がつきやすくなり、指紋の跡がついてしまうくらい皮が薄いと教えてくれた深見さんに、入江さんも「繊細なんですね」と驚きの表情。
この農園では、早朝5時から1人あたり600個も収穫している。「めちゃくちゃしんどい。暑い、休みない。大変です」と言いながらも、水なすを愛してやまない深見さんは野菜ソムリエの資格を取得し、SNSでいろいろなレシピを発信。「また違った形で食べてもらえるように提案もしていきたい」と笑顔を見せる。入江さんは「手間と時間と愛情が注がれているものだなって感じましたし、作るだけじゃなくて活かし方までこだわってらっしゃるんですね」と語った。
おいしいの向こう側には、泉州水なすへの愛情があった。
#4 CRAFT ARTS 天 陶芸家 金子夢土さん・やよいさん夫妻
遠赤外線でゆっくり焼いて、食材の旨味を凝縮してくれる陶板。今回のワンディッシュに登場した陶板もまた大阪産で、大阪最南端の泉南郡岬町で陶芸家としている金子夢土さん・やよいさん夫妻が手掛けた作品だ。やよいさんは「食べることって、目で見て楽しそう、おいしそう、その感覚から入ると思うんです。土偶コンロを見るとみんなクスって笑ってくれるんですよね。そういうものがお家にいたら楽しいじゃないですか」と語る。見て楽しいだけではなく、使いやすいように中を空洞にした丸い足をつけることで、熱を逃がす工夫も。さまざまな改善を重ねて今に至っているという。
他にも、コーヒーカップや土鍋など、多彩な陶器を制作。「こんな陶器で食事をしたらすごい楽しくなる。それを日本中の人に知ってもらいたい」とやよいさん。
入江さんは、「何より楽しそう。日本中の食卓を元気にしたいっていう思いが伝わってきました」と笑顔で語った。そして、もう一度ワンディッシュを味わいながらもう一言「生産者さんの顔を見た後だと味わい方が違う。想いも感じられて心までおいしくなりました」

ワンディッシュ(=一皿)に込められた様々な人たちの思いを深堀る『ワンディッシュ ~「おいしい」の向こう側~』は毎週日曜午後7時54分~7時58分、関西ローカルで放送中。
次回ゲストは、元プロ野球選手の糸井嘉男さんです!