日本人より日本人らしい、現代のラストサムライを愛媛の『ポツンと一軒家』で発見! アメリカからやってきた武道家が自然と仲間と共生する丸い茅葺屋根道場
衛星写真でみつけた謎の一軒家の実態を徹底調査する番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)。8月31日(日)の放送回では、1年前に訪れた愛媛県にある丸い茅葺屋根が特徴的なポツンと一軒家を再訪した。
ここに住んでいるのは、アメリカ出身の38歳の武道家ベンジャミンさんと、48歳の奥さま・昌美さん。ご主人は、自然道(じねんどう)という武道・農業・建築を一体にした総合武術を指導している。捜索隊は、このポツンと一軒家で行われる、棚田の田植えに密着した。
捜索隊を「おかえりなさい」と出迎えてくれたのは、ご主人。アメリカ・ペンシルバニア出身で、子どものころから日本の武術に興味を持ち、17年前に来日。居相や剣術などさまざまな武術を習得し、6年前に愛媛県の山中の耕作放棄地となっていた棚田を買い取り、夫婦で茅葺屋根の道場をセルフビルドして道場を開いた。
何もかも一から始めた夫婦。まず、ご主人が建築現場で修業して技術を体得。妻とふたりで整地をして、石垣を積んだ。建物の基礎には、いらなくなった古民家の基礎石をいただき再利用。木材は裏山の檜を200本切り出して使用した。夏に木が生えている状態で皮をはぎ、1年そのまま放置して乾燥させる「立ち枯らし」という方法で水分を抜いてから伐採。そうすることで、重機がなくても二人で材木が運べるのだという。そうやって、夫婦二人だけで2ヶ月で骨組みを完成させた。
妻が「屋根は茅葺がいい」と提案。茅葺職人を探していたところ、「茅葺職人養成講座開始」の情報を得て、夫婦で受講。四国唯一の茅葺職人の下で4年かけて技術を習得した。何より大変だったのが、素材となる茅を集めることだったそう。片道2時間の茅場に通い、4年かけて1800束の茅を集めた。そして、講座の師匠、職人、同期受講生など総勢16人が5日間かけて茅葺屋根を完成させた。
1年ぶりに訪れた道場にも変化があった。高齢の弟子の安全に配慮し、板間が畳敷きに。茅葺屋根の内側は、防虫・防水のために囲炉裏で杉の葉をいぶしていい色に。
彼らの実践する自然道は、武道・農業・建築が一体となったもの。畑では、さまざまな野菜が自然栽培されている。前回訪問したときに「夫婦が大好きなアボカドの温室を作りたい」と語ってくれたが、その温室も現在建築中だ。
今回の再訪の目的も、農業の要である棚田の田植えの撮影。自然栽培で、玄米で食べると美味しいというハッピーヒルと古代米・紅もち米など希少米を育てるのだそう。上手くいくと年間800キロのお米が収穫できるという。
道場生たちも集まり、年に一度の田植えが始まる。ご主人が法螺貝を立てて吹く立螺(りゅうら)で五穀豊穣を祈った後は、田んぼの中に入り奉納演武を行う。道場生は74歳のリタイアを楽しんでいる男性や、社会人になりたての男性、そして「先生がラストサムライのようでカッコよくて入門した」という男性は、古武術の動きを仕事である介護に活かしたいと奮闘中。甲冑でプロレスをする修業のために入門した人など、さまざま。現在は11人が教えを受けている。みんなで田植えをした後は、奥さんのお母さん手作りのハッピーヒルのお稲荷さんや山菜おこわ、野菜をふんだんに使ったお昼ごはんをみんなでほおばった。
夫婦二人で築いたポツンと一軒家も、仲間が集う賑やかな場所に。これからは、アボカドの温室を完成させ、川の音を聞きながら入れる露天風呂も作りたいと更なる夢を語ってくれた。
この愛媛県のポツンと一軒家は、8月31日(日)に放送されたバラエティ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)で紹介された。
