高3前に両親が他界…関東第一(東東京)二刀流エース・坂本慎太郎投手「一番後悔している」甲子園で昨夏リベンジの一打
夏の甲子園(第107回全国高等学校野球選手権大会)11日目にあたる8月16日に3回戦第4試合で、2024年大会準優勝校・関東第一(東東京)が登場。投打の要である3年生エース・坂本慎太郎投手は、天国の両親に見守られながら、「一番後悔している」という昨夏の甲子園決勝戦のリベンジを果たした。
【TVer】生前の父の口癖「諦めるな。慎太郎ならできる」を胸に……。関東第一(東東京)二刀流エース・坂本慎太郎投手が先制打! 昨夏の無念を晴らした感動の瞬間
実は、小学4年生のときに母親を、昨年12月に父親を亡くした坂本投手。高校3年生を前に両親がいなくなってしまった坂本投手の原動力は、「家族のために」という思いだ。「諦めるな。慎太郎ならできる」という生前の父親の口癖を、坂本投手は頻繁に口に出して自らを奮い立たせている。
そんな坂本投手には、忘れられない1球がある。それは、昨夏の甲子園決勝戦でのこと。京都国際(京都)との延長タイブレーク10回裏、2アウト満塁という逆転のチャンスで打席に立ったのは、当時2年生の坂本投手だった。坂本投手は甘めの初球に手が出せず、結果は空振り三振で試合は終了。泣き崩れた坂本投手に、初球でバットを振れなかったことが「一番後悔している」思い出として刻まれた。
何度も悔やんだ1年前のリベンジを果たすため、そして1年前とは違う自分を天国の両親に見せるため、坂本投手は再び阪神甲子園球場へ戻ってきた! 3回戦第4試合の相手は、長崎代表の創成館。3回表1アウト満塁のチャンスの場面で打席に立った坂本投手は、初球から食らいついて、ライトに先制タイムリーヒット! 昨夏の雪辱を果たして歓喜の雄たけびを上げる坂本投手に、アルプススタンドで彼を見守る兄と姉も大喜びした。
坂本投手は、守備でも大活躍。創成館と1点差の6回裏から満を持して登板すると、同点のランナーを背負うも、ビッグプレーで併殺! この回を無失点で切り抜け、創成館に良い流れを作らせなかった。
しかし、8回裏に2アウト2・3塁と、関東第一にこの試合最大の試練が訪れた。一打逆転の危機で坂本投手は、「お父さん・お母さんが絶対に空で見ている」という思いと、「慎太郎ならできる」という父親の言葉を胸に秘めて、全力投球! その結果、坂本投手は打者をショートフライで仕留めて、この回を無失点で終わらせることに成功。最終的に関東第一は、創成館に4対1で勝利した。
打っては先制タイムリーヒット、投げては4イニング無失点で大活躍した坂本投手。試合後に坂本投手は、「『絶対抑えられるよ』って(いう両親の)声が心に届いて、抑えられたのかなと思います」と笑顔で語った。彼がこの先の試合でも、天国の両親に活躍する姿を見せられることを期待したい高校野球ファンは多いだろう。
なお、関東第一と創成館の熱すぎる試合ハイライトは、8月16日に放送された『熱闘甲子園』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)で紹介された。
