雄たけび号泣!9回2アウト満塁フルカウント…春センバツ準優勝の智弁和歌山「人生で一番悔しい」昨夏の甲子園のリベンジ結果は

夏の甲子園(第107回全国高等学校野球選手権大会)に、春のセンバツ(第97回選抜高等学校野球大会)準優勝校・智弁和歌山(和歌山)が登場! 初戦敗退となった昨年の夏の甲子園第106回大会の雪辱を果たそうと、強豪・花巻東(岩手)と粘り強く戦った。9回2アウト満塁フルカウントという、緊迫の場面で待っていた結末は……!?
【TVer】春の選抜準優勝 智弁和歌山、雄たけび号泣!「聖矢に回せ! 聖矢に!」 9回2アウト満塁フルカウント、4番・福元聖矢選手につなげたい緊迫の瞬間
智弁和歌山のエース・渡邉颯人投手と、4番打者・福元聖矢選手ら3年生には、忘れられない夏の思い出ある。それは、2024年の夏の甲子園2回戦(茨城・霞ケ浦戦)だ。

当時、一打サヨナラのチャンスで福元選手が空振り三振し、延長タイブレークで渡邉投手が2点の勝ち越しを許し、智弁和歌山は初戦敗退。人目をはばからず泣き崩れた2人に、霞ケ浦戦は「人生で一番悔しい」思い出として刻まれている。
この悔しさを忘れず1年練習に打ち込んだ智弁和歌山は、野球の聖地・阪神甲子園球場にカムバック! 彼らが夏の甲子園4日目にあたる8月8日の第1試合で戦ったのは、強豪・花巻東だ。1回表2アウト2塁というチャンスで福元選手は、いきなりライトを越えるタイムリーヒットを放って先制! 初打席から、昨年の雪辱を1つ果たした。
守備では、渡邉投手が4回裏まで2失点に抑え、花巻東に粘りのピッチング。しかし、1点を追う5回裏に牽制球がそれてしまい、一気に2アウト3塁のピンチを招いた。その後に1点、次の6回裏にもまた1点を花巻東に奪われてしまい、智弁和歌山ナインの脳裏に昨年の苦い記憶がよぎる。
しかし、智弁和歌山は粘り続けた。3点差の9回表2アウトの場面で、なんと1年生の井本陽太選手がガッツを見せて出塁! その後の打者も次々と出塁し、あっという間に満塁になった。
智弁和歌山はあと1人バッターを繋げば、4番・福元選手に打順がまわって逆転できるかもしれない……。この千載一遇のチャンスに、智弁和歌山のベンチ席から「聖矢に回せ! 聖矢に!」という号泣の雄たけびが上がった。
この緊迫の場面で打席に立った3年生・奥雄大選手は、仲間たちの「聖矢に回せ!」という叫びともいえる声援を背に、とことん食らいついた。ついにはフルカウントになり、智弁和歌山の誰もが祈る中で奥選手がフルスイングした結果は、空振り三振……。最後まで名門の意地を見せた智弁和歌山だったが、花巻東に1対4で敗北し、悲願が届かず再び号泣した。
智弁和歌山の激闘に加えて、彼らが明かした秘話にも胸が熱くなる。実は福元選手は、人知れずいろいろな思いを溜め込んでおり、春の甲子園前に退部を宣言していたという。福元選手いわく、花巻東戦で放ったタイムリーツーベースヒットは、「ここまで何のためにやってきたか考えろ」と怒って退部を引き止めてくれた、渡邉投手ら仲間たちのおかげなのだそうだ。
花巻東戦後に福元選手は渡邉投手に、「ホンマにあのときはありがとう」と涙ながらに感謝。対する渡邉投手も福元選手に、「ここまで一緒に野球ができてうれしかった」「また2人で切磋琢磨して頑張っていきたい」「2年半ありがとう」と感謝し、2人は熱い握手と抱擁を交わした。
大熱戦を終えた智弁和歌山の面々は、宿舎では笑顔だ。明るさを取り戻した福元選手は、「僕のことがみんな好きなんで必死に引き止めてくれました」とお茶目にコメントし、周りにいた仲間たちと笑い合った。
なお、智弁和歌山と花巻東の熱すぎる試合ハイライトは、8月8日に放送された『熱闘甲子園』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)で紹介された。
※智弁和歌山の「弁」は「辯」、渡邉颯人投手の「辺」は「邉」が正式表記
