号泣!劇的サヨナラ勝利で昨夏王者・京都国際が甲子園出場決定「絶対こんなところで負けてられない」 その裏に“敗北の苦悩”があった
8月5日から18日間開催される「夏の甲子園(第107回全国高等学校野球選手権大会)」を目指す高校球児たちには、知られざる人間ドラマがある。その1つが、前回王者の京都国際高等学校(以下「京都国際」)だ。今年も高校野球界の中心にいると思われた京都国際だが、実は人知れず負けの悔しさを味わい、涙を流していた。
【動画】何度見ても鳥肌……同点で迎えた9回裏ノーアウト1・3塁の場面で「絶対こんなところで負けてられない」 京都国際の劇的サヨナラ勝利の瞬間!
京都国際といえば、創部26年目にして2024年に初めて夏の甲子園で優勝したことでお馴染み。優勝投手にもなった当時2年生の西村一毅投手の活躍は、多くの高校野球ファンの記憶に刻まれているだろう。
しかし京都国際は、夏の甲子園優勝後も高校野球界の中心に常にいるわけではなかった。実は、その年の秋季大会と翌年の春季大会ともに、全国はおろか京都大会で敗退していたのだ。
負けの悔しさを知った京都国際の中でも、一番危機感を覚えて誰よりも変わったのは、エースの西村投手だ。西村投手は、あまり積極的なタイプではなかったが、仲間たちに不甲斐ないプレーがあればすぐに指摘するようになり、勝ちにこだわって練習に励んだ。その理由は、長く苦しい冬を過ごした分、みんなで「一番長い夏を過ごしたい」という思いがあるから。彼の変化に仲間たちも感化され、チームには次第に一体感が生まれていった。
そんな京都国際は、甲子園出場をかけて夏の京都大会へ。4回戦は、春の京都大会優勝校・京都共栄学園高等学校を相手に、延長タイブレークを制してサヨナラ勝ち。準決勝は、秋の京都大会優勝校・立命館宇治高等学校を、西村投手が自己最速を更新する146キロのストレートで圧倒し、勝利に貢献した!
京都国際の決勝戦の相手は、第1回大会優勝校の京都二中の流れをくむ京都府立鳥羽高等学校だ。西村投手は、なんと1回表から鳥羽の4番打者にホームランを打たれ、いきなり2点を先制される事態に。その後京都国際は、毎回のようにチャンスを作るものの鳥羽の好守備に阻まれ、なかなか追い付けなかった。それどころか、8回表で焦りがミスを呼び、鳥羽との点差を広げてしまった。
しかし、負けの悔しさを知る京都国際は折れなかった。2点を追う8回裏、2アウト2・3塁の場面で打席に立ったのは、3年生の長谷川颯選手だ。「絶対に自分が打ってやるぞ」という気持ちだったという長谷川選手は、1人で投げ続ける西村投手の力投に応えるようにタイムリーヒットを記録。京都国際は2点を返し、ようやく同点に追いついた!
9回表を無失点で抑えた京都国際は、その裏、先頭打者の3年生・清水詩太選手がヒットで出塁。その後もチャンスは広がり、ノーアウト1・3塁の場面で打席に立ったのは、同じく3年生の猪股琉冴選手だ。「絶対こんなところで負けてられない」という気持ちだったという猪股選手は、劇的なサヨナラ打を放ち、京都国際は鳥羽に4対3でサヨナラ勝ち! 京都国際の、2年連続4回目の甲子園出場が決定した瞬間だった。
夢舞台の切符をつかみ取った京都国際の選手たちは号泣……。彼らの涙は、秋と春に流したものとは全く違う。敗北を知って強くなった彼らが目指すのは、もちろん夏の甲子園連覇だ。「みんなで優勝旗返しに行くぞ!」「甲子園で優勝するぞ!」と気合十分な彼らが、阪神甲子園球場でどんな熱いドラマを見せてくれるか期待が高まる。
なお、感涙必至の京都国際の密着映像は、8月3日に放送されたスポーツバラエティ番組『ぺこぱのまるスポ』(ABCテレビ)で紹介された。同放送回は、夏の甲子園開幕直前ということで、「ぺこぱのまるスポ 高校野球“絆”SP~友とかなえたい夢がある~」と題して、ほかにも幼馴染と甲子園を目指す、岩手県立久慈高等学校の球児たちにもカメラが迫った。