大阪・関西万博の診療所に密着 脱水症状や思わぬケガ続出!? 骨折や関節のずれなど「まさか」のトラブルとは?
夢洲で開催中の「大阪・関西万博」。来場者の中には、連日の厳しい暑さで体調不良を起こす人や、思わぬケガに見舞われる人も――。そんなトラブルに日々対応している会場内の「診療所」に密着。医師や看護師らの奮闘を追いました。
万博会場内にある3カ所の診療所の中から、今回の舞台となるのは、西ゲートの近くにある「西ゲート診療所」。会期中は毎日午前9時から午後10時まで、救急科専門医などを含む4人の医師や看護師らがケガや体調不良の人に対応します。
運ばれてきたのは80代の女性。パビリオンに入るため、順番待ちの列に並んでいて倒れてしまったといいます。診察するのは大本亮輔医師。話を聞くとこの女性、数時間にわたって水分補給をしていなかったそう。この日は雨だったこともあり、喉の渇きを感じにくかったようです。
ほかに重大な異状はみられなかったため、大本医師は「脱水」と判断。女性は20分ほどベッドで休んだ後、万博会場に戻ることができました。
【動画】会場内に設置された医療救護施設は3つの診療所と5つの応急手当所。1日におよそ100人の体調不良を訴える来場者に対応しています。
診療所を訪れる人の傾向について、万博特有の要因があると指摘するのは、万博の医療救護施設の責任者で、大阪公立大学教授の溝端康光さん。朝早くから来場して列に並び、待っているときに気分が悪くなってしまう人や、体の異変を感じても「せっかく並んだのだから」と無理をして体調を崩す人も少なくないといいます。
また、慣れない場所で周りを見ながら歩くため、足下の段差に気づかず転んでケガをするケースも多いそう。そして猛暑が続くなか、最も心配されるのは「熱中症」。6月から7月15日までに、すでに36人が熱中症の疑いで救急搬送されています。パビリオンを見て回ることも大事ですが、休憩をこまめに取るなど、「体を休めながら体調を整えて」万博を楽しんでほしいと溝端教授は呼びかけます。
「西ゲート診療所」に1歳の女の子が搬送されてきました。おう吐をくり返し、ぐったりしています。担当した白石真之医師の診断は、やはり「脱水」。暑くなると体から出ていく水分も多く、こまめに水を飲まないと、子どもも大人も「脱水気味になってしまう」といいます。
夕方、運ばれてきたのは50代の女性。パビリオンの階段で転倒し、右肩の痛みを訴えています。腕が上がらず、腫れもみられたことから、担当の木口雄之医師は「骨折の疑いあり」と診断。すぐさま紹介状を書き、自宅近くにある救急病院で診察を受けてもらうことになりました。
続いてやって来たのは、肘の痛みを訴える5歳の男の子。ひとりで腕を振って遊んでいたところ、肘の関節がずれてしまったよう。診察した石河恵医師によれば、「肘内障」という小学校に上がる前の子どもによくあるケガだそうです。
さっそく外れかかった肘の関節を元に戻しますが、これがかなり痛いようで男の子は大泣き。ですが、肘は無事に元通りになり、この後もお父さんと一緒に万博を楽しむことができました。
万博会場でのケガや体調不良は、来場者にとっては「まさか」の事態。最も気になる「この後もレジャーが楽しめるかどうか」を基準に判断を下し、「“すぐに診てもらえて安心した”という気持ちで帰ってもらえたら」と石河医師。
万博での「まさか」に対応するため、診療所の医療スタッフは今日も来場者の安全を守っています。
万博「診療所」の密着取材は、7月16日(水)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
