「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」人気アトラクションやパークの世界観を手がけるアートディレクターに密着!
人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」で、華やかなアトラクションを陰で支えるアートディレクター。子どもたちと一緒に取り組んだ“新たな作品”の制作の裏側を取材しました。
2月14日、USJに新たにオープンした「ドラえもん 4-Dアート・アドベンチャー」。3D映像と水しぶきなどの特殊効果でドラえもんの世界をリアルに体験できるアトラクションです。
この誕生を支えたのが、USJで働いて8年目になるアメリカ出身のガーナー・マリッサさん(37)。アートディレクターとして、アトラクションやパークの世界観を視覚的に表現するのがお仕事です。
そんな彼女が、人気アニメ「ドラえもん」とコラボした前出の新アトラクションで流れる3D映像の制作を手がけることに。作画を担当するアーティストたちに細かく指示を出し、全体を統括するマリッサさん。幅広い知識や技術をいかし、元のキャラクターの世界観を忠実に表現することに全力を傾けます。
幼いころから絵を描くことが好きだったマリッサさん。10代で大病を患い、食事はおろか水さえ飲めない時期が1年以上も続く深刻な状態に陥ったこともありました。そんなとき「いろんなことができ、どこへでも行ける」想像力の翼をくれた絵は、マリッサさんに「いろんな可能性を与えてくれた」といいます。
【動画】多忙なマリッサさんの息抜きは、趣味の“社交ダンス”。同僚の前でステップを披露することも!?
ひとつのアトラクションが完成するまでにかかる期間は1年ほど。ストーリーを構成するチームや空間演出をデザインするチームなど、複数のチームで議論を重ねながら作品を仕上げていきます。
そんなある日、マリッサさんは大阪市内の小学校へ。アトラクションの制作と同時並行で進めている“子どもが主役”のプロジェクトのため、特別授業を行うのです。
そのプロジェクトとは、子どもたちがひとりずつ絵を描き、それを集めた巨大な“モザイクアート”を作るというもの。「アートを純粋に楽しんでほしい」というマリッサさん思いから、何を描いてもOKとあり、お菓子やマリッサさんの顔など、それぞれの“好きなもの”がのびのびと描かれていきます。
実は今回のモザイクアート、自由な表現を損なわないようにとの配慮から、完成すると何ができるのかは事前に明かされていませんでした。授業の後、マリッサさんが「ドラえもんです!」と伝えると、子どもたちから歓声が上がります。
さらにこのプロジェクトには、特別支援学級や入院生活を送る小児病棟の子どもたちもビデオ授業で参加。全部で700枚もの絵が集まりました。これをマリッサさんたちが「子どもたちの絵を最大限にいかすこと」を大切にしながら、モザイクアートに仕上げていきます。
いよいよ公開の日、前夜からの作業で新アトラクションとモザイクアートが完成しました。早朝、仲間たちと最終チェックに臨んだマリッサさんは、子どもたちの絵がしっかりと見えるモザイクアートを見て「よかった〜」とニッコリ。「ハロー、ドラえもん!」と思わず手を振ります。
実はこの前日、プロジェクトに参加した子どもたちも完成したモザイクアートを一足先に見ていました。作品の中に自分の絵を発見して大喜びした子は、今回の体験で絵の楽しさを知り、「将来は絵を描く人になりたい」とも。そんな子どもの声を知ったマリッサさんは「まさしく、そういった“やればできる”ということを感じてほしかった」と感激しきりです。
そして、ついに新アトラクションがお披露目に。楽しそうな観客の様子に思わず感極まるマリッサさん。「可能性は無限大だということを感じて、挑戦してほしい」と作品のメッセージを伝えながらも、「でも楽しんでくれたら、それでいいわ(笑)」と笑顔で話してくれました。
USJアートディレクターの制作の裏側は、2月21日(金)放送の『newsおかえり』(ABCテレビ 毎週月曜〜金曜午後3:40〜)で紹介しました。
