神戸市兵庫区の閑静な住宅街にある創業65年「上沢マル井パン」は、御年91歳のパン職人、小田実さんが家族とともに営むパン屋さん。訪れるお客さんが求めるのは、美味しいパンと、この道75年になる実さんの元気に働く姿です。

毎朝4時、実さんは自宅から歩いて出勤します。パンを焼くのは主に息子さんで、娘さんはレジや品出しを担当。実さんはパン生地を作っています。「上沢マル井パン」はパン生地の長時間発酵が最大の特徴。生地の水分量は実さんが長年の経験で培った感覚が頼りです。そのほかにも実さんのベテランならではの技が欠かせません。朝6時、一番人気の食パンをはじめ、店頭に100種類以上のパンが並び、開店します。

91歳の今もエネルギッシュな実さん。自転車に乗ってお買い物に出掛け、お店の方から「スーパー爺ちゃん」と呼ばれています。お休みの日には息子さんと海釣りに出かけることも。「仕事が楽しい。しかも、皆さんが喜んでくれる」と引退を感じさせません。

実さんは終戦直後に故郷の山口から神戸にやって来ました。パン屋さんを営んでいた叔父のもとでパンづくりを学び、1960年に独立します。その後、1995年に起こった阪神淡路大震災で店舗が全焼。一時は廃業も考えました。しかし、「いつ復活するの？」という周囲の声に応え、半年後にはプレハブを建て、営業の再開に漕ぎつけたのです。

お客さんの喜ぶ顔に加え、実さんのもうひとつのパワーの源は、もうすぐ一歳になるひ孫のりおちゃん。彼女の誕生日祝いに家族みんなでバースデーケーキを作ります。スポンジケーキの部分は食パンを使用。りおちゃんを笑顔にするために、パン屋さん一家が作るバースデーケーキが完成します！

『LIFE～夢のカタチ～』は、2月22日 土曜　午前11時から放送。（ABCテレビ/関西地域で放送、TVer見逃し配信あり）