大阪・関西万博“独自パビリオン”断念の舞台裏 「まさかこの時期に…」がく然 開催まで9カ月

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開幕まであと300日を切った「大阪・関西万博」。準備が本格化する一方で、複数の国が独自のパビリオンでの出展の取りやめを表明しています。パビリオンの建設遅れの舞台裏と、関係者の葛藤を取材しました。

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滋賀県出身の建築家・遠藤秀平さん(64)にその“知らせ”があったのは6月始めのことでした。独自にパビリオンを設計・建設する「タイプA」の建設をを予定していた東ヨーロッパの国・アルメニアが出展を断念。数カ国で共同運営する「タイプC」への変更を表明したのです。

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アルメニアの独自パビリオンのデザインを任されていた遠藤さん。建築に興味を持つきっかけが、10歳のときに大阪万博で見た海外パビリオンだった遠藤さんにとって、35年のキャリアで初めて担当するパビリオンの設計は、やりがいある大きなチャレンジでした。

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ところが今年2月、アルメニアの万博担当大臣が突然解任され、ほかの万博担当者も人事異動で入れ替わったことから、これまでの契約交渉がリセットされる事態に。4月には、これまで一緒に準備を進めてきた建設会社が、人件費の高騰などで費用が折り合わず、プロジェクトから撤退することになってしまいました。

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本来、4月中に着工する予定でしたが、準備はすべて振り出しに。遠藤さんはそれでもあきらめませんでした。つてを頼って新たなパートナーとなる建設会社を見つけ出し、5月下旬、ようやくアルメニアと正式に着工の契約を交わすところまでこぎ着けたのです。

【動画】遠藤さんのデザイン案は、アルメニアの聖なる山・アララト山と歴史ある教会の屋根がモチーフ。これも幻となってしまいました。

着工予定は、当初より3カ月遅れの7月。ようやくプロジェクトが本格的に動き始めた矢先、「まさかこの時期に…」と遠藤さんをがく然とさせることが起こります。

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5月末、アルメニアの北部で洪水が発生。地域の交通インフラが壊滅的な打撃を受け、死者も出る事態に。その影響は想像以上に大きく、経済的な理由から万博のプロジェクトは一旦ストップすることに。再開を信じ、祈るような気持ちでアルメニアからの連絡を待っていた遠藤さん。しかし数日後、災害の復興に予算をあてるため、「独自パビリオン断念」との決断が伝えられました。

あまりにもショッキングな、受け入れがたい事実。それでも「出展する国がそう決めたら、それは受け止めざるを得ない」。遠藤さんは、計画が白紙になったことを伝えるために建設会社へ向かいます。

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「説明すべき言葉が浮かばないんですけど」「私もぽっかりと穴が空いたみたいで…」。重苦しい空気の中、無念の思いをにじませる遠藤さん。一方、メーカーや外注業者との調整に全力で取り組んできた建設会社の社長は、険しい表情で口を開き…。

大阪・関西万博の独自パビリオン断念の舞台裏は『newsおかえり』(毎週月曜〜金曜午後3:40〜)の特集コーナーで紹介しました。動画をABCテレビニュースの公式チャンネルで公開中!

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